昨日為替マーケットは大きく揺れた。ユーロの暴落を引き起こすドラギ・マジックの再来、一応想定内とはいえ、やはり値幅が大きかったので、俄かドラギ・ショックの様子を呈しています。

要するに、ECBは何でもやる姿勢に市場が驚いています。ここまで追い込まれているのは、極端に言うと、今までの量的緩和やマイナス金利政策、期待されたほど成果を出しなかったためと言えます。景気状況も物価水準も、緩和政策の目標に程遠い、ECBの苦悩、どこかの国の中銀に共通されているようにも見えます。

言うまでもないが、ユーロは更なる売り圧力に晒され、これからも下値ターゲットを打診する余地があると思われます。但し、ユーロ安が3月安値を割り込むまで進むかどうかについて、目下マーケットの主流見方と距離をおいたほうが無難だと思います。

なぜなら、基本的にユーロの値動き、ドイツ国債利回りとの連動性が高いと思われ、量的緩和やマイナス金利導入でこの前ドイツ国債が大分買われ、バブルの様子を呈していましたが、限界にも近づいています。言わば過大流動性で債券市場の硬直化をもたらし、更なる量的緩和や利下げがあっても、債券価格の上昇に繋がるとは限らないのです。利回りの低下に限度あるなら、ユーロの下値余地も限られるはずであります。

この上、重要なのはECBの「激ハト派」スタンス自体何を意味かにある。結論から申すと、これは他ならぬ、EU圏経済が深刻な落ち込みのほかありません。ECBの何でもやる姿勢、裏返しにとらえると、背水の陣に臨んでいるともいえます。

となると、ECBの緩和姿勢を目先歓迎一色で米日株はとも大幅続伸、ドル/円も121関門打診寸前でいますが、果たしてこういったリスクオンのムード、どれぐらい継続できるかは疑問であります。目先よい材料と解釈されても、よく吟味してやはり不安材料と解釈されると、状況は一変していく可能性が大きいではないかと思います。

ギリシャショック時の一本調子下げと違って、キャリートレードの調達通貨としてのユーロ、リスクオフ時の買戻す対象になるから、ユーロ安も一筋縄にいかないはずです。こういった教訓、実は3月以降の相場から得られたはずで、市場関係者らも一段慎重になっているところではないかと思います。市況はいかに。