ドル高トレンドが定着したかと思いきや、ドル全体の上昇モメンタムが低下し、昨日ドルインデックスが下落してきました。ドルロング筋の苛立ちを刺激する市況になっていると言ってもおかしくなかろう。何しろ、金融政策の相違に基づくユーロ売りといった「鉄板トレード」が1.07関門に拒まれたように見えるからです。

昨日ドイツなど主要国の株価指数が軒並み1%を超えて下落、米ダウ指数は1.4%安で約1カ月半ぶりの下落幅を記録しまた。原油先物相場を始め、金、銅など商品相場の大波乱がエネルギー関連大手企業業績への懸念を強め、株式指数を押し下げた側面が指摘され、またFRB幹部らのハト派発言が相次ぐ中、株式相場が改めて年内利上げの可能性に反応したと解釈されます。

となると、目下ドルの伸び悩みは自然の成り行きかと思われます。何しろ、利上げ観測が株売りをもたらし、株安に伴うリスクオフがユーロ買い・円買いに繋がるといった構造、いつか来た道でもある。ドルインデックス、8月相場の大混乱の前例もあり、果たして今回のドル高も短命に終わるでしょうか。

相場のことを相場に聞くなら、あれこれ考えるより相場自体のシグナルを観察したほうがよほど効果的であろう。結論を先に言うと、現在相場が発したシグナルを見る限り、今回のドル高が「ホンモノ」の可能性が高まり、3月高値を再打診するまで、試練を受けながら、8月のような大反落を回避できるではないかと思います。換言すれば、これから商品相場の反乱や株安局面が引き続き想定されるが、これらの試練を乗り越えるからこそ、ホンモノのドル高だと言えます。

ドルインデックスに鑑み、8月の¥安値、一旦6月安値を切り込み、その後大きく回復し、8月高値をブレイクしたから、8月24日安値が「ダマシ」であることが証左されました。ダマシほど有効なサインがあいと言われていますから、今回ドル高構造の蓋然性が高いと思われます。相場はあらゆるファンダメンタルズを織り込み形で先行しているなら、少なくとも3月高値の再打診が有力視されます。

但し、金融政策の相違から見ると、ユーロがもっとも売られやすく、またドル高の受け皿として役割を果たしていく公算が大きいから、ユーロ安がユーロ/円相場に通じてドル/円の頭を抑え込む可能性も無視できません。ユーロ/ドルは早晩3月安値1.0462をトライしていくなら、ユーロ/円が最大126関門(4月安値前後)の打診も想定され、ドル/円の高値更新は逆に難しいかと思われます。ドル/円の上昇、かなりオーバーしてきただけに、今回はユーロ/円の「逆襲」を受ける公算が高いかと思います。