ドル/円が120円絡みになったのは昨年の12月の初旬からですから、それからほとんど丸1年120円に絡んできたことになります。

2011年3月の東日本大震災により国内のすべての原発がストップし、代替エネルギーとして液化天然ガスを大量に輸入することになったため、それまで45年間続いた貿易黒字は赤字に転換しました。

この貿易赤字に伴うドル買い需要が大幅に増えたことによって、ドル/円は2012年2月から2015年6月まで50円弱も上昇しました。

しかし、昨年の7月から原油価格が105ドル近辺から40ドル割れまで急落したことにより、輸入額が激減しました。

これによって、昨年末からドル/円レートはほぼ横ばいであっても、需給関係はかなりそれまでのドル買い需要過多からほぼ需給がバランスした形に変わってきています。

そして、10月の貿易収支は、逆に1千億円程度ではありますが黒字になってきています。

また最近、川内(せんだい)原発のような原発の再稼働も実施されるようになっており、液化天然ガスの輸入を抑えて貿易収支を黒字化させるような材料も出てきています。

ということは、今度はドル売り需要が増える可能性がありますから、ドル/円相場が現在の高原状態から下落に転ずる時期もそれ程遠くはないと見ております。

今の相場は、何かにつけて、EUR/USDが上昇(ドル安)ならドル/円は下落。あるいはEUR/USDが下落(ドル高)ならドル/円は上昇という、追随型の相場になっていますが、徐々に貿易黒字に伴うドル売り需要が増えて飽和状態になった時には貿易黒字相場らしく、ストンとドル/円は落ちるものと見ています。

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