ドル全体の反落が続いています。9日では、ドルインデックスは97.22の安値をトライ、再度50日線をトライしました。同線はドルインデックス8月や9月高値を押さえてきただけに、ここにてサポート機能の有無が注目されました。足許ドル全体が回復している様子を見せているが、短期スパンではなお油断できないと思います。

もっとも、テクニカルの視点は、9日の安値打診は先週ECB金利決定後ドル安の延長線にあり、特筆する必要もありませんが、見逃せないのは、同日ドルの急落、実にECB政策委員会メンバーのノボトニー氏の発言が引き金であったことです。

市場は人間と同様、建前と本音があります。建前上、ノボトニー氏の発言に反応したようにみえても、本音は違うところにあります。今回の本音、すばり、「やばい、ドルを一杯買てるから、ポジションを落とせないといけない」というところにあるではないかと思います。

ポジションを落とす必要があるとしたら、理由はただひとつです。即ちポジションが過大に積み上げされ、そういった歪な構造、修正する必要があるからほかありません。実際、ECBの政策に過大期待し、ウォール街の煽りもあって市場関係者らは目一杯ユーロ売り/ドル買いのポジションを積み上げていたから、「損切り」はなお続きやすく、また継続させる必要があったからと思います。

ドルロングポジションが過大だったから、損切りが続くという話が理解されやすいかと思いますが、「損切り」を継続させる必要があるという言い方がなかなか分ってもらえないかもしれません。この理屈を説明するために、やや脱線的な話をしよう。

市場は非常に複雑で奥深いものですが、単純に言えば、ロングとショート筋の戦場と喩えます。ロングにしてもショートにしても、相手なしでは成り遂げないことがあります。それは他ならぬ、トレンドの大幅推進であります。

例えば先週ECB会議前の状況では、ネコも杓子ユーロ売り/ドル買いを仕掛けていたから、一定の水準に到達したら、もうネコも杓子も売っているから新規の売りが入ってこないことになります。これでユーロが更に下落するとしてもなかなか勢いを見せない可能性が大きい。なぜなら、少し下げるとユーロ売りの利益確定、即ちユーロの買い戻しが入ってくるので、大きなトレンドの推進が望めません。

故に、みんなが持っている同じポジションを一旦大量に落とせないと、更なるトレンドの推進が望めないから、どこから一斉に反対の値動きを拡大させ、ポジションのバランスを再構築する必要がありました。今回ECB会議前におけるウォール街の煽りやその後ノボトニー氏の発言に乗ったユーロ買い戻しの拡大に、こういった思惑が透けて見えます。勿論、所謂陰謀論を述べているわけではないから、相場の真実の一面として認識していただければ幸いです。

まとめて言いますと、目下の段階、ユーロの買い戻しがすでに完了したか、間もなく完了する公算が高いと思われます。従って、仮に近々再度ユーロ高があれば、絶好の売り好機だと見ています。市況は如何に。


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