2016年は多くのアナリストやストラテジストにとって受難の年となり、またウォール街に限らず、金融業界に身をおく所謂プロらが自身喪失の年でもあろう。何しろ、あの天下のゴールドマンサックスがただ6週間足らずで2016年ベストストラテジー(計6つ)が全滅し、日本株含め、多くのアナリストが一所懸命書いていた「2016フォーカス」といった年間予想も2ヶ月たらずでくず紙となったほどだ。

あまりにも衝撃なのか、この間あるアナリストの「自虐レポート」がウォール街にて話題を呼んでいた。同氏はモルガンスタンレーのparkerシニア・ストラテジー、彼がわざわざレポートを出し、これから株のPERなんかは予想不可能で、自分達のアドバイスの逆を張れば儲かるかもしれない、とクライアントにアドバイスをした。

勿論、氏が率いるアナリシスチームが出したレポート、大きく外れた結果を受けた反省に基づく話だが、なんという正直!と大きく受けたわけだ。対照的に、ここ日本では、日本株急落や円の急騰で見方が外れたセンセイらが言い訳したり、逆切れしたりという光景はよく見られるから、同じアナリストの立場でも感服したばかりである。

さて、問題はアナリスト個人の素質や素直かどうかではなく、なぜアナリストらはこんなに予想が外れるかにある。一つの原因は前回コラム記事にて指摘したように、世界主要中央銀行の思惑と逆に行っている相場、従来のロジックは通用しなくなっていることが挙げられる。もうひとつは、やはり世界金融相場が大きな転換点に位置しているから、普段必ずしも必要とされない大きなマクロ的な視点が必要になってきたではないかと思う。

換言すれば、従来のロジックや従来のアナリシスが従来の相場に好く通用したほど目下の相場に通用しないし、また通用しなくなってきたからその反動も大きく、そして総じてその反動がオーバーしがちだ。従来のロジックと従来のアナリシスで相場を張ってきた方が多かったので、通用しないと分かれば皆が一斉に手仕舞うから、反動も大きくなったわけだ。故に、えらいほどアナリストの見方が外れるわけだ。

とは言え、外れでも言い訳する者は一部アナリストらに限定した話ではない。世界主要中央銀行の総裁さんは言い訳が得意、そのうち某総裁さんの徹底ぶりが市場関係者を震撼させるほどだ。

量的、質的緩和を2回もやって、なんの成果もえられずに終わっていたにもかかわらず、更にマイナス金利を付けた緩和に冒進、マーケットの逆噴射(株安・円高)を招いた。が、張本人から何の反省もなく、言い訳ばかりを繰り返し、更なるマイナス金利の拡大が示唆されるばかりで、これからも市場の報復に遭う運命にあるでしょう。

だから、これからマーケットも反乱万丈に動くでしょう。各国の中央銀行、状況を把握する力を失いつつあり、その一方、自己満足的な政策を推進、マーケットの困惑を深めていくばかりだ。2016年はやはりコンセンサスが裏切られる年である、これだけ悟ったほうがよいだろう、はい。