前回のコラムでは、FRB幹部の発言は信用できない側面が大きいことを指摘した。実際、イエレンFRB議長今週の発言、明らかにハト派だったので、ドルインデックスのリバウンドを終焉させた。

そもそもこの前FRB幹部のタカ派発言が何だったでしょうかと思うほど、FRB内部の分岐が目立っている。前回でも指摘したように、FRBとはいえ、最近幹部らの発言が「軽く」なり、その中、ただ4週間程度でスタンスを180度チェンジし、マーケットを困惑させた方もいるほどだ。対照的に、イエレン議長の話、あまりぶれていないので、マーケットに安心感を与えている。

故に、イエレン発言後、米株式、債券や金相場は共に上昇した。4月利上げの可能性がなくなったことに安堵し、またこの前のFRB幹部らのタカ派発言に対する反動とも思われる。ドルインデックスに鑑み、3月24日96前半までの反騰も彼らの発言につられた側面が大きかったから、昨日94.30まで下落、3月17日安値94.65割れを果たしたことも当然の成り行きだ。

テクニカルの視点では、前回にてドルインデックスの「ダブル・フェイクセットアップ」のサインを指摘し、ブル基調への回復はハードルが高いことを強調した。この意味では、この前FRB幹部発言などの攪乱要素があったものの、テクニカルの視点において、その影響はたいしたものではなかった。彼らの発言をもってドルのブル基調を予想する方の多くはマーケットの値動きをよく観察しなかったと言える。

なぜなら、前記「フェイクセットアップ」のサイン以外、値幅と日柄の関係からみてもドルインデックスがブル基調に程遠い状況が分かるからだ。3月16日~17日の二日間の下落幅に対して、3月28日までのリバウンド、連続7日目に数えてからやっと頭打ちとあったが、3月16日高値に程遠く、この二日間の下落に比べ、リバウンドがより長い日数と小さい値幅に留まったことに鑑み、明らかにベア基調におるとこが分かる。FRB幹部の強気発言と裏腹に、ドル全体のリバウンドが弱いモメンタムに留まっていたから、早晩ベアトレンドへ復帰しようといった推測を得るのも難しいものではなかったはずだ。要するに、日柄と日数の関係から強弱感を測るには、比較さえすれば分かりやすいもので、目先の安値更新は当然の成り行きだと思われる。

そうなると、ドル全体の反落トレンドがこれからも続き、一昨日の米雇用統計次第、一波乱があったものの、メイントレンドが維持される公算が高いと判断できる。