ドル全体は下げ一服の様子を見せている。ドルインデックスの17日安値100.26から切り返していることを重視すれば、ドル高基調がなお維持され、また場合によってはまた高値更新される可能性があると見る。

というのが、17日安値が重要な意味合いを持つからだ。なにしろ、同日トランプ氏が「ドルは強すぎる」と発言、ドル全面安値をもたらしていたからだ。言い換えれば、米大統領がドル高をけん制してくれば、一大事なので、ドルの急落も当然の成り行きだと思われる。

ここでまず言っておきたいのは、トランプ氏がドル高けん制、至って自然の出来事で、むしろけん制してこないほうがおかしいことだ。所謂「トランプ・ラリー」が大分ドル高を推し進めてきたから、「トランプ氏が安倍政権と密約、ドル高をけん制してこない」といった怪しすぎる観測が日本の一部市場関係者に語られたこと、笑止千万のほかあるまい。

保護主義を前面的に打ち出し、また米製造業の復活を声高に主張するトランプ氏の政策に鑑み、いままでドル高をけん制しなかったこと自体がおかしいほどだ。要するに、ドル自体が本当に高すぎるかどうかは問題ではなく、トランプ氏の立場からみると、強いドルよりも弱いドルのほうは都合がよいわけだ。

しかし、米大統領のごく「自然」な発言があっても、それをもってマーケットにおけるトレンドを完全に修正できるかと聞かれると、答は明らかにノーだ。ないしろ、所謂「高官発言」のみで、マーケットの内部構造をチェンジできた前例はないからだ。

前回でも強調させていただいたように、ドルの反落、今年から始まったものではなく、実は昨年12月15日当たりからすでに展開されてきたわけだから、トランプ氏の発言をもってドル安の始まりではなく、むしろドル反落のクライマックスを示唆するサインとして受け止めるべきだと思う。

ドルインデックスの時間足で検証すると、トランプ氏の発言でもたらした下落幅は147@ipsぐらいで、この前の223pipsや252pipsの下落幅に比べ、むしろ縮小していた。だから、トランプ氏のドル高けん制でドル安が留まらないだろうといった先入観をもって相場を見ていたら、重要なサインを見逃すことになる。

それはほかならぬ、時間足における下落ウェッジの形成とその上放れのサインである。言ってみれば、テクニカル上の「都合」から考えると、なぜ17日当たりトランプ氏がドル高をけん制していたのか、またなぜ彼の発言が想定されたインパクトがなく、ドルを押し下げる効用が「意外」に短命に終わっていたのかを分かる。

詰まる処、そのすべて下落ウェッジに沿った形で行われ、またその必要や蓋然性があったからだ。ゆえに、同フォーメーションを見込んだ上でドル安一服を予想できるうえ、下落ウェッジの上放れを想定できたはずだ。

 


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