ドルインデックスにしても、ドル/円にしても、一昨日(15日)の高値打診から反落してきたが、前回コラムにて指摘したように、日米首脳会談と無関係であった。トランプ政権発足して以来、いろんな出来事があったが、基本的にリスクオフにはならなかった。だから、目先ドル全体の軟調、年初来から2日までドルの反落と同様、スピード調整といった視点で捉えるのが妥当であろう。

相場の内部構造、ドル高を示唆しているなら、それに伴い、また後付けとして、ファンダメンタルズ上の材料が出てくるはずだ。この前の「トランプ・ラリー」が行き過ぎた分、年将来ドル全体がスピード調整してきたが、2日安値をもってすでに完了したであれば、新たな材料が浮上してくるはずだ。場合によっては材料の蒸し返しでも再度大きく効いてくるケースが多いから、ファンダメンタルズ上の材料を再度確認しておきたい。

「トランプ・ラリー」が行き過ぎであったからこそ、ドル全体がすでにスピード調整をはじめ、その後トランプ氏のドル高けん制が効いたわけだ。となると、ドル高に再度転じた先週の値動きに、「トランプ減税」期待の再燃や早ければ3月にもFRBの追加利上げあり、といった観測が高まったこと、むしろ自然の成り行きだ。この二つの材料、どれも過去材料の蒸し返しに過ぎないが、ドル全体のスピード調整がすでに完了した公算が大きい目下、再度効いてくると見る。

「財政拡張+金融引き締め」の局面では、典型的な反応パターンは持続的な通貨高である。だから、いくらトランプ米大統領がドル高をけん制しても、ドル高の基調が安易に修正されず、当面維持されるでしょう。教科書の通りなら、足許のドル高、まだ始まったばかりといえるが、昨年年末まで進行していた「トランプ・ラリー」の行き過ぎに鑑み、幾分割り引けの必要もある。言い換えれば、仮にこれからドル高が加速しくとしても、材料の「二番焙じ」なので、昨年11月9日から昨年年末まで進行された強いドル高のモメンタムにならない公算が大きい。

ゆえに、ドル全体は上昇基調を保てるが、ドルインデックスにしても、ドル/円にしても年初来高値を更新していくには時間がかかる見通しだ。「トランプ・ラリー」がもたらしたドル高のスピード自体、異例であっただけに、目先の市況、むしろ健全だと言える。

だから、ドル/円は一旦115関門手前まで試し、また反落してきたこと自体について、特筆するところはない。そして、ユーロ/ドルは1.05関門に迫ったものの、また反騰してきたのも同じ背景を有するから、健在なスピード調整とみる。スピード調整があったからこそ、トレンドをより持続させるから、ドル高のトレンドが維持されよう。

ところで、ドル高基調が維持される一方、米株高に平行し、金も上昇傾向を維持している。一般論として、ドル高は金の下落と連動する傾向にあり、また米利上げ観測は米株を押し下げる効果があるから、トリプル高はよくみられるケースではない。

統計では、過去5年間、米株は1%以上の上昇幅を達成した時、平均して金は2.2%の下落といった市況が見られた。また、ドル、米株、そして金が揃って1%の上昇を達成した局面、過去10年間、2回しか出てこなかった。

このような現象をもたらす背景、大きく分けてみると、以下の2点を挙げられるのでは。まず、トランプ政権運営に対する不安や欧州政治見通しに対する危惧が高まり、投資家は嫌でも金をポートフォリオに加えざるを得なかった。次に、2008年リーマンショック以来、現実として「あり得なかった」インフレの再来が懸念されているからだ。

米インフレ上昇率の予想値、1年前の1%程度(5年平均)から1.9%に急上昇、2016年インフレ率は2.5%と統計された。インフレの高まりや加速、1月CPIの2.5%(年率)という2012年3月以来の高い数字からでも確認され、米利上げの圧力として十分インパクトがあると思う。

となると、ドル高を支える材料として、米利上げ見通しの拡大はしばらく重要視されるでしょう。米債券利回りの上昇(債券の下落)が「トランプ・ラリー」とともに急上昇し、また同じく行き過ぎった側面を否めないが、米インフレ見通しの強化で米債券市場のベアトレンドは安易に修正されず。またこれからも続くでしょう。

債券市場から撤退、株式市場への流入がすでに観測されたが、史上最高値におる米株のみではなく、保険の意味合いでも金を買っておく、といった流れも強まっているという。だから、しばらくドル高、金高が共存する市況が継続してもおかしくなく、金の値動きをもってドル/円を語る、といった従来の手法では相場の真実を掴めなくなる、といったリスクも大きいのでは。市況はいかに。


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