こんばんは、小池まちこです。

(長くなりますがよろしくお願いいたします。)

今日はシスメックス、ヘリオス、大日本住友製薬の3社で
「移植前免疫反応検査法」の開発をする
という発表がありましたので、
再生医療市場について触れたいと思います。

誕生から間もない再生医療市場ですが、薬事法改正における「早期承認制度」
で企業の取り組み方が一気に加速しているようです。
(いわゆる飛び級みたいなもんで、製品の有効性が「推定」されたら、
期限付きで承認してくれるので、承認まで普通の半分くらいの時間で済むのです。
医薬品は発売時期が早いほどシェアを取れるのです。)

経済産業省は国内再生医療市場について、2012年の90億円から、
2020年には950億円、その10年後には1兆円となり、
2050年には2.5兆円に拡大すると予測しています。
ちなみに今のところ、製造販売承認製品が2 製品、
うち保険償還の対象とされたものは
自家培養表皮(重症熱傷)の1 製品に限られます。

がん免疫治療薬の潜在市場は5700億円と最も巨大ですが、
夢の若返りや夢の発毛!そして豊胸も・・・と
美容分野にも広がることとなります。
さらにそれを支える物流や検査機器などの市場も
この分野で新な市場が成長していく事になります。

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★前置きが長くなってしまいましたが、今日、
「シスメックス(6869)、ヘリオス(4593)、大日本住友製薬(4506)
の3社で 他家iPS細胞由来 網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の
「移植前免疫反応検査法」に関する共同研究開発を開始」
と伝えられました。

再生医療市場の発展に貢献する内容なので、注目したいと思います。

この開発は、検体検査で国内トップのシスメックスの解析技術を使って、
ヘリオスと大日本住友製薬が共同開発を進める
「他家iPS細胞から作った網膜色素上皮細胞」の
「移植前免疫反応検査検査」を開発するという内容です。

他家移植は他人のiPS細胞を移植するため、
移植後に自分の免疫機能によって拒絶反応が出ることが心配です。
移植前に「移植しても大丈夫なのか」また
「移植前に免疫反応をどれくらい抑えたらいいのか」を確かめなければいけません。
今回、3社が共同開発を発表した「移植前免疫反応検査」というのは、この部分になるかと思います。

この開発によって、拒絶反応を起こす免疫の働きを抑える薬を、
「どれだけ」「何回」投与したらいいか、
といったことがわかるので、その結果が他家細胞移植後の
免疫抑制療法に活かされるといいます。

「移植前免疫反応検査法」の開発に成功すれば、
他家細胞移植による再生医療の進展にかなり貢献することになるでしょう。

~再生医療市場は他家移植で拡大する~
iPS細胞は「分化誘導」という過程を経ることで、
様々な臓器を構成する細胞・臓器に変化していける能力を持っています。
これが万能細胞と呼ばれる 所以ですが、
この能力を利用した治療法の開発が進められています。

2014年9月には理化学研究所(理研)の下で、
自家(自分の)iPS細胞を用いた世界初の再生医療手術として
「加齢黄斑変性」を治療する「網膜色素上皮細胞(RPE)移植手術」が
臨床研究として行われました。

つまり、自分のiPS細胞から作った網膜細胞「網膜色素上皮シート」の
移植によって根本的に治療するという内容です。

ただ、自家iPS細胞から作るシート移植による治療では遺伝子検査に数千万、
なんと 全部で1億円もかかってしまうといいます。
しかもその遺伝子検査には時間もかかると言います。
遺伝子検査の間に病気が悪化してしまいませんかね。

一方、他家(他人)移植だと、遺伝子検査にかかるコストや時間を削ることができます。
他人のiPS細胞ですが、これは培養して調整してストックされたものです。
ざっくり言えば、血液がストックされているのと似ています。

拒絶反応が起こりにくい人の細胞を培養してストックしておくことで、
早く安く細胞移植手術が実現するということです。

(少し話がずれますが・・・)—————–
ストックについては京都大学iPS細胞研究所が「iPSストックプロジェクト」というのを進めており、
親株を培養して増殖して、小分け貯蔵します。
最終的には8割がたの日本人に合うiPS細胞をストックするとしています。
これをセルバンクと言って、大日本住友製薬は15年8月に京都大学iPS細胞研究所から
再生医療に使用可能なiPS細胞マスターセルバンクを受領しており、
16/2月には大日本住友製薬からヘリオスが受領しています。
(ヘリオスは前臨床試験や治験に使用する網膜色素上皮細胞を、
ここから取り出したiPS細胞をさらに培養・増殖させて作製する段取り)
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お疲れ様でした、ありがとうございます。

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