【22年8月18日】他通貨の比較的落ち着いた値動きを尻目に、USDJPYの大相場が続いています。ペロシ下院議長の台湾訪問で米中関係が緊張し、130.40近辺まで下落したUSDJPYは、その後たったの3日間で135.50近辺まで反発しました。この値動きにより、前回のブログでは、これで133円割れは難しくなったと書きましたが、その後に発表された米CPIの数字が下降したことにより、USDJPYは一挙に132.03付近まで下落。さらに追い打ちをかけるように、翌日の弱いPPIの数字の発表されると、132円も割り込んで131.70台まで下落しました。そして、その4営業日後の昨日、USDJPYは再び135.50近辺まで上昇しています。今回のブログで3回連続になりますが、今回もこの目が離せないUSDJPYの値動きについて、今後の予想とともに書きたいと思います。

 

8月はここまで、USDJPYの値動きに大きく影響した材料が4つでています。ひとつめは8月2日のペロシ米下院議長の台湾訪問。ふたつめは5日の米雇用統計。そして、3,4つめが10日の米CPIと11日の米PPIです。前回のブログで書いたように、ペロシ氏の台湾訪問後、材料の出尽くし感とFRB理事によるインフレ懸念楽観をけん制する発言、そして強い米雇用統計の数字で、USDJPYは135円半ばまで一挙に反発しました。135.50を起点と考えると、この7月28日から8月5日までの値動きが、1回目の大きな往来相場になります。そして米CPIとPPIが前月より下降したことにより、一時131円台後半まで下落しましたが、これも米金利の上昇を背景に、4営業日後には135.50まで反発しています。これが8月10日から昨日7日にかけての2回目の大きな往来相場で、結局3週間足らずの間に、5円幅の往来と4円弱の往来を1回ずつしたことになります。

この2度の往来相場を検証してみると、1度目は139円台の高値をつけたUSDJPYが、FOMCを経て調整下落に向かった、1番底を打つ動きだと見ることができます。2度めは、ロング勢の売りと、戻り売りのショートを狙っていた投機筋が、弱いCPIとPPIを材料に売り込んでいってつけた2番底と解釈することができると思います。CPIでつけた安値を、翌日のPPIでつけた安値が下回っていますが、131.50を下回ることはなく、全体としては3月からの日足上昇チャネルの中での動きにとどまっています。

さらに興味深いのは、日足に青い水平線を使って示しましたが、131.60近辺がNY終値になった8月1日のロウソク足を除いて、その後のすべてのロウソク足は、下ヒゲを何度もつけるものの、この133.00近辺、あるいは133.00を上回ったところで終値を迎えていることです。これは132円台の下押しをトライするものの、132円台が居心地が悪く、反発してしまう地合いであることをよく表した値動きだと思います。2度の大きな往来を経て、USDJPYは132-133円あたりで底固めをほぼ終了しつつあるように思います。

冷静に考えてみれば、1度や2度、インフレに対する弱い数字がでたところで、FRBがすぐに利上げを停止するわけがないし、日本の低金利政策も終了することはありません。ファンダメンタルズを考えると、USDJPYが調整下落から下降トレンドに入ることは考えにくいのですが、やはり夏季休暇シーズンの参加者が少ない市場環境と、米債償還絡みの円買いなどがでたこともあり、弱めのCPIの数字によって、下方に過剰な売り圧力が生じたのだと思います。USDJPYは133円あたりをベースに、再び上昇する機会を窺う段階に入ってきたと思います。

とはいえ、他の他通貨のドルストレートが、もみ合い相場で動きが鈍いなか、USDJPYが短期的にこのまま上昇トレンドに再び移行できるのかは、ちょっと疑問が残ると思います。本日未明に公表されたFOMCの議事要旨では、今後の利上げペースはこれからのデータ次第という内容でした。来週にはジャクソンホール会議が開催され、来月にはまた雇用統計とCPI、PPIの発表があり、次回FOMCはそういった指標発表の後です。こうしたことを考えると、今月いっぱいは、下値を切り上げながらも、まだ133-135.50を中心にしたレンジ相場が続く可能性が高いのではないかと思います。

ここまで8月のレンジ相場の上限となっている135.50近辺ですが、この135.50-80は多くのトレーダーが強く意識しているレジスタンスゾーンです。6月には幾度となくもみ合ったところで、7月14日に139.39近辺の高値をつけた後の、FOMC前の押し安値にあたるところでもあります。前述したように、135.50-55は昨晩を含み、今月3回トライして上抜けできていません。また135.95近辺は、139.39から130.40までの下落に対し、61.8戻しにあたるレベルになります。このように強力なレジスタンスゾーンを上抜けして、136.00に到達することができれば、USDJPYは再び137円から139円台の高値圏への挑戦になるのではないかと考えています。