全回(本コラム)にて予想した問題、今週に入ってから次々と鮮明化してきた。まず、ドイツ銀行の問題だ。ソロス氏が空売り仕掛けていたとされるこの銀行、株価がどんどん下げていき、にわか「リーマンショック前夜」の様子を呈している。

ドイツ銀行が抱える最大の問題は過剰なレバレッジだとされ、あのリーマンブラザーズ破産前の状況と似ってきた。また、資産を売却してしょうとしても信用市場の流動性が低下しているためうまくいかない。一段の資金調達なしでは難局を乗り越えず、またそれによって一段と難局に陥るといった悪循環に晒されるから、ドイツ銀行があのリーマンブラザーズの二の舞と囁かされ始めている。

より深刻なのは、今回英EU離脱がもたらしたリスクオフの流れでEU全域の銀行株が売られ、ドイツ銀行の問題が氷山の一角と言われることだ。こうなると、仮にドイツ銀行が破たんした場合、その連鎖的インパクトが計り知れず、EU全域の信用市場に破滅的な結果をもたらす恐れが決して低くはないと見る。EU版リーマンショックの再来が危惧される。

もちろん、経済面のダメージではなく、これから想定される混乱、政治面においてより大きいでしょう。スコットランドのEU残留表明は事実上独立宣言に近く、オランダやイタリアのEU離脱が囁かれることもEU解体の危機を露呈している。こういった経済、政治の両面においての混乱や危機を回避していくには決して容易いことではなく、仮に成功するとしてもかなり時間がかかるでしょう。

もうひとつ的中したのが人民元の問題だ。昨日ロイター社は、中国人民銀行(中央銀行)が人民元を6.8人民元まで安くするよう誘導する容易があると報道、同報道でオフシュア市場における人民元が10分間で400pipsも急落していた。その後中国人民銀行がすぐ否定する声明を発表したが、経験上、中国人民銀行が素早く反応すればするほど消息がホンモノの可能性が高いから、いよいよ人民元安の第二幕開けが始めたと見るほうがよいでしょう。

要するに、2016年は波乱の年で、7年サイクルごとに発生する世界景気後退の現実味が英EU離脱によって一段と高まってきたわけだ。このような本格的な景気後退があれば、米利上げどころか利下げもあり得る上、日銀がいくら量的緩和やマイナス金利を拡大しても焼け石に水、失敗に終わるでしょう。その上、アベノミクスの失敗が一段と証左され、その反動がまだまだ続き、今までの株価と円レートに織り込まれたと考えたら甘すぎるでしょう。肝心のポンド/円、逆張りのミセス・ワタナベらはあの2008年のように再度やれるリスクが大きいでしょう。なぜなら、英国の量的緩和がすでに規定路線として浮上している以上、ポンド安の進行が避けられず、戦後最安値の更新が視野に入っているからだ。油断は禁物!


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