今週の外国為替市場は、各国の今後の金融政策を睨んで、神経質な展開となりそうだ。
《週末の仏同時多発テロ》
週末仏で多数の死傷者を出す同時多発テロが勃発した。これを受けてオランド仏首相が、非常事態を宣言。イスラム過激派「イスラム国」による犯行との見方を示した。
オランド仏首相は、週末のG20の欠席を表明したが、G20では難民問題やテロに関して協議されるだろうが、こういった部分の金融市場への影響は少ない。ただテロへの懸念が、今後の仏経済に一定の影響を与える可能性があり、週初からユーロ売り圧力となる可能性がありそうだ。また直近では、ロシア航空機がテロによって爆破された可能性が指摘されており、「イスラム国」の行動が過激化し始めている。こういった面では、地政学リスクが再び強く意識されると、株価面などにも好影響はなく、相対的にテロ・リスクの低い円に買い戻しの雰囲気が高まることもありそうだ。週初の市場の動きには注意しておきたい。
《経済指標》
経済指標としては、米国では、10月消費者物価指数や10月景気先行指数、10月鉱工業生産・設備稼働率、11月NY連銀製造業景況指数や11月フィラデルフィア連銀製造業指数の地方経済指標および住宅関連の指標など、12月のFOMCの利上げの可能性を見る上で重要な指標が続き、堅調な内容が続くならドルをサポートする見通し。
また、ユーロ圏でも12月の追加緩和の思惑に対して、独・ユーロ圏11月ZEW景気期待指数、独10月生産者物価指数やユーロ圏11月消費者信頼感・速報などに注目が集まりそうだ。
一方英国では10月消費者・小売・生産者物価指数などが弱い内容となるなら、利上げの期待に水を差し、日本の第3四半期GDP・1次速報や10月貿易収支などに弱めの数字が続くと、日銀の追加緩和期待につながり易い。
その他では、NZは第3四半期小売売上高や第3四半期生産者物価指数、カナダでは、9月国際証券取引高と製造業出荷、9月卸売売上高、10月消費者物価指数と9月小売売上高などの強弱で、相場は一喜一憂しそう。新興国でもトルコ8月失業率、ルウェー第3四半期GDP、南アでは10月消費者物価指数と9月小売売上高、スウェーデン10月失業率、メキシコ第3四半期GDPなどが公表されることで、こういった通貨にも一定の動きが出る可能性に留意しておきたい。
《金融政策》
金融政策としては、17日に11月3日開催分の豪RBA議事録、18日は10月27-28日開催分の米FOMC議事録、19日に日銀金融政策決定会合の結果公表、 南ア準備銀行の政策金利発表、10月22日開催分の欧州中央銀行理事会議事録要旨が公表される。
豪州では、強い10月雇用指標を受けて急速に利下げの思惑が遠のく形となっているが、今回の豪RBA議事録には未だハト派部分の文言が残っており、単月の数字で追いかけるのは危険な雰囲気。米FOMC議事録は、すでに12月の利上げの可能性を市場が確実視しており、特段変化がなければ影響は少ないか?
一方日銀金融政策決定会合では、政策の据え置きが想定されるが、必ず「一部期待感が相場を支え、結果で失望する」ことがパターン化しており、このパターンに従って戦略を練る形を想定したい。その他南ア準備銀行は据え置き見通し、ECB議事録要旨では、12月の追加緩和の可能性がどれだけ協議されたかに注目が集まりそうだ。
《要人発言》
今週も要人発言の機会が多い。ドラギECB総裁やその他ECB理事連、米FRB関係者、黒田日銀総裁などの講演や討論会参加の予定が目白押しで、影響は不透明だが、こういった要人の発言で、今後の金融政策に対して、市場が思惑を高めたり、一喜一憂する展開が続きそうだ。