来週月曜日、人民元がSDRに採用されるかどうかについてIMFが決定します。中国の悲願、来週達成される公算が大きいようです。

もっとも、人民元のSDR入り自体、長期に渡り人民元地位の向上をもたらす公算が大きいですが、短期的には寧ろ弱気材料であります。何しろ、人民元が基本的に実体より割高で、その状況を維持していくには無理があります。

中国政府、無理矢理人民元レートを高めの水準に維持しているのはほかならぬ、人民元のSDR入りの地合い整備だと言われています。従って、SDR入りを果たした場合、逆に維持する必要がなくなり、完全にマーケット主導になれないものの、幾分利下げの余地を広めていくことも十分想定されます。

こういった思惑が膨らむ中、オフショア市場における人民元安が続いています。中国筋主導の「ゲリラ」的人民元買いが仕掛けられ、何回も踏み上げされたにも相関わらず先安感が強いです。人民元先安の思惑が強い分、中国政府が莫大な外貨準備高を投入し人民元レートを維持していますが、そろそろ限界かとも囁かされています。従って、人民元のSDR入り、ひとつの区限として意識されたほうが良さそうで、近々人民元の再切り下げを覚悟しておきたいです。

更に、SDR入りを果たした後、切り下げがあれば非難されることも容易に推測されます。一方、切り下げがなければ維持していくコストに耐えきれず、何れ切り下げしなければなりませんから、チビチビ下げるよりも一回思い切って大胆に切り下げに踏み切ったほうが得策だと思われます。人民元先安観測は資金やはり人民元安の余地に焦点が絞られるから、大幅な切り下げのほうが一石二鳥と言えます。人民元先安観測が資金流失を招いている分、中国政府にとって一大事です。だからこそ、こういった「ショック療法」が選ばれる公算が高いと思います。

となると、8月人民元切り下げがもたらした世界金融相場混乱の再来も覚悟しておきたいです。いつものように、日本株にしても、円にしても外部衝撃に弱いから、一時にせよ、株安・円高へ振れ幅拡大、また8月24日のように、ドル/円をはじめ、円絡み通貨の「とんでもない」高い変動率の高まりに警戒したいと思います。米利上げに期待し、ドルロングのポジションが積みあげられている中、対ユーロよりも、対円のほうが反転されやすいではないかと思います。