今週の外国為替市場は、ECB理事会、米雇用統計、イエレンFRB議長の議会証言と金融政策を睨んで、感謝明けの相場が、荒れた動きをスタートするか注目される。

《中国のSDRの問題》
 週末上海総合株式指数が、大きく値を下げて終了したが、30日、IMF理事会が、人民元のSDR(特別引出権、IMF国際準備資産)構成通貨への採用を判断する模様。これを懸念した下げなのか、不透明だが、東南アジアで領有権問題が続いていることもあり、不採用となるなら、リスク・オフの動きが広がる可能性も残っていることは注意。

《経済指標》
 経済指標としては米国では、12月の利上げがほぼ規定路線となっており、経済指標の強弱が相場に、大きな影響を与えるかは不透明となるが、10月雇用統計が想定外に強かったことで、下方修正などリスクが残りそう。その他住宅関連や11月ISM製造業・非製造業景況指数、クリスマス商戦絡みの指標などが発表されるが、FOMCまでは一時的な影響に留まりそうだ。

 欧州では、11月消費者物価指数・速報、製造業・非製造業PMI・確報値、 11月と10月の失業者数・失業率、GDP確報などが発表されるが、ECB理事会が焦点で、こちらも反応は思惑や結果で反応は限定されそうだが、比較的良好なことは注意。

 その英国では11月製造業・建設業PMI、中国では国家統計局の11月製造業・非製造業PMIと11月財新・製造業PMI、豪州では、第3四半期経常収支、10月住宅建設許可、第3四半期GDPと10月貿易収支まどが公表され、相場の波乱要因。また、カナダでも、第3四半期経常収支、9月と第3四半期GDP、11月雇用統計と10月貿易収支、11月Ivey購買部景況指数と材料が多く、大きな動きが出るか注意となる。

《金融政策》
 金融政策としては、1日に豪RBAがキャッシュターゲットを発表、2日に加中銀が政策金利を発表し、3日にECB理事会が開催される。
 豪RBAも加中銀とも据え置きが想定されているが、今週は両国とも第3四半期のGDPが発表されることは注目される。GDPの内容にもよるが、両国とも声明が焦点となる。
 豪州では、想定外に強い内容となった10月雇用統計を受けて、一時利下げ期待が遠のいたが、その後発表された民間設備投資が統計以来最大の落ち込み。またスティーブンスRBA総裁が「近い将来に金融政策の変更が生じるなら、ほぼ確実に緩和」と発言しており、単月の雇用指標でRBAが強気に変わるとは思われない。声明に弱気が残ると一時的に豪ドル売りを強める結果となりそうだ。

 加中銀では、第1・第2四半期のGDPが連続してマイナス成長となっているが、中銀は第3・4四半期はプラス成長になると想定以上に楽観的。声明でもそれほど弱気が見えない状況が続いているが、原油・商品相場が軟調が続いており、少なくとも利上げを実施する状況ではなく、声明を受けてカナダドル買いが出ても、絶好の売り場とされそうだ。

 一方ECB理事会では、ドラギ総裁が、すでにこの会合で、預金金利引き下げを含むあらゆる手段を検討すると発言しており、結果が大きく注目される。ただ、「あらゆる手段を検討する」としてはいるが、実施するとは明言していない。一部ECB理事やメンバーとの不協和音もあり、未だ不透明感が残る。また、想定されているマイナス金利の幅の拡大や資産買入れ対象の拡大などの追加緩和策では、市場にサプライズはなく、今までこの思惑でユーロが売り込まれてきただけに、巻き戻しの流れには注意したい。

 また、今週は重要な要人発言が続くが、30黒田日銀総裁の講演、1日にカーニーBOE総裁の会見、2日にスティーブンスRBA裁とイエレンFRB議長の講演、3日は、イエレンFRB議長が上下両院経済合同委員会で証言し、フィッシャーFRB副議長の講演も予定されている。金融政策に対する思惑を強める発言が出てくる可能性が高いので注目される。