世界金融市場はベア一色に染まられた。上海株は昨年安値を一旦更新、ダウ指数は昨年8月安値に迫り、日経平均は1万6千大台の打診をうかがった。世界範囲のパニック相場、二つ相場の値動きに象徴され、これからも油断できない展開。

ひとつはMSCIグローバル指数が高値から20%安を達成、テクニカル視点ではベアトレンド入りと定義できる。もうひとつは原油、12年ぶりの安値を度々更新し、昨日反騰していたものの、30ドル以下に留まり、「底なし」の様子を露呈している。

この二つ相場の値動きを見る限り、昨年後半から指摘してきた世界金融危機の可能性が一段と現実味を高めた。本コラムにて指摘したように、7~8年サイクルが繰り返してきたなら、2015年は2007年に相当、今年は2008年相当する確率が高く、2007年の米サブプライム問題が翌年リーマンショックを引き起こしたと同様、昨年の中国株暴落や人民元切り下げが今年の「李万ショック」をもたらすでしょう。

2008年マーケットの混乱ぶりに鑑み、目先世界金融相場の下げはまだ序の口でしょう。少なくとも今年前半に限って、明日はより悪く・・・・といった覚悟が必要かと思う。リスク資産から手を引くこと、筆者が繰り返し指摘してきたので、これからも見方は変わらない上、また指摘する機会があるかと思う。

というのは、昨日原油相場が反発してきたことが象徴されているように、ベアトレンドでも一直線にいかない。従って、これからスピード調整のリバウンドがあれば、いつものように、もう大丈夫だとか、今仕込まないと今度のブル相場に乗り遅れるといった論調がまた浮上し、大きくの個人投資家がまた惑わされる局面が来る、と思っているからだ。

換言すれば、筆者として持論を維持するものの、目先日経1万6千関門寸前の一直線打診、そしてポンド/円の164関門直接割れのどちらも相場の行き過ぎを物語り、ついこの間(昨年年末)強気だった一部エコノミストやアナリストの弱音を聞かされる足許では、寧ろ相場が一服し、まずリバウンドしてくる公算が大きいではないかと思う。

何しろ、今回「李万家」、即ち上海株の行き過ぎが鮮明になってきた。年初から急落し、昨年年末安値を一旦更新していたほどの急落ぶりを示しているが、年初来わずか17日交易日で20%に近い下落率を達成、幾らなんでも行き過ぎたと思う。

もっとも、世界金融相場が中国株次第という言い方が成立するなら、中国株は人民元次第だと言える。人民元のオフシェア相場、一時猛烈に売られていたが、中国政府の介入で人民元が買い戻され、落ちついているから、中国株安の一服があってもおかしくないと見る。

そして、人民元の代わりに香港ドルと香港株がショート筋の攻撃対象になっているが、香港政府の香港ドル防衛で目先忽ちパニック相場になりにくく、香港株の割安感も目立ってきたので、中国A株と同様、目先一旦底打ちを図ってもおかしくなかろう。

香港株の代表指数はハンセン指数である。同指数のPERが1倍を割り込み、1998年以来の出来事となった。中国成長減速と資本流出の影響で香港株が売られてきたこと自体に何も違和感がないが、この段階における安値打診、果たしてスピード違反にならないかといった懸念もある。