今回日銀会合がマーケットを失望させたといった見方が多いが、実際は「失望」のサプライズを与えてのでは。何しろ、事前にマーケットが過大、また過激な観測をしていたから、量的緩和とマイナス金利の両方を据え置き、ETF買い入れの増額という「わけがわからない」政策を選んだ黒田さんがわざとマーケットを「失望」させ、またその自体がサプライズだったように見えた。

ETF買い入れの増額、「わけがわからない」と思われるのが、2%のインフレターゲット達成に役に立たないからだ。ゆえに、同政策のみ推進するのも、もうひとつの「サプライズ」だと思われる。それはほかならぬ、量的緩和とマイナス金利政策がすでに限界に達したということだ。

黒田さんが「限界なし」と豪語していたものの、実際は限界を認識しているならば、これから路線を修正するか、「神風特攻」を仕掛けるほか残す道はない。だから、次回は総括すると記者会見で言っている、要するに、そろそろ白黒をつける時期がくる、ということである。

安倍首相も事前に日銀の政策を察知していたでしょうか、財政出動の規模や中身を度々示唆、マーケットの注意を喚起しようと躍起していた。いずれにせよ、黒田さんの「敗北」はそう遠くないから、円相場も所謂ポスト・アベノミクスの段階に入っていく。

1月末マイナス金利導入は「通常のサプライズ」、今回の決定は「失望のサプライズ」であれば、2月はじめから「サプライズの円高」と対照的に、これから「失望」したからこそ円安、という展開になりかねない。なぜなら、巷の常識と違って、相場は理外の理、または内部構造に支配されるから、大衆の意表が常に突かれる。日銀の政策はどうであれ、これから基本的に円高の限界を確認していく市況になるのでは。

いずれにせよ、100~102は当面ドル/円にとって厚いサポートゾーン、下放れなしでは巷の認識と一線を画したほうがよいかと思う。量的緩和拡大なし、またはマイナス金利拡大なしだから円高になるといったロジック、2月初頭における「マイナス金利だから円安」と同じく危険だと指摘しておきたい。市況はいかに。