【23年7月1日】久しぶりの文章による書き込みですが、本日のGLAFX週末の検証編からの抜粋になります。6月30日にUSDJPYはおよそ8か月ぶりに一時145円台に乗せ、市場の関心が再び政府日銀の市場介入に集まってきています。

今朝の日経の電子版でイエレン財務長官が円買い介入の是非について、日本政府と調整に入っていることを認めた、という記事を読みました。これが本当だとすると、政府日銀がUSDJPYの円買い介入のための根回しを再び開始したことになります。米国は為替の水準を恣意的に動かす介入に反対しているので、今回も政府は急激な変動を抑えるために介入するという根拠で、米国に介入の了承をとるものと思われます。

しかし、政府の本音としてはUSDJPYの水準はマスコミも国民も騒がない140円以下がいいと思っているはずです。なので、145円はもう介入を考えたい水準なのですが、連日40-50pipsと安定的にドル円相場が上昇していては、急激な相場変動には当たらないので、介入を正当化する理由を米国に説明できないと思います。では、1日2円以上の円安にならないなら、このまま放置するのか、と言うとそうでもない気がします。おそらく1日ではなく、月ベースあるいは年ベースでの上昇率を根拠にして、介入を正当化するるのではないかと思います。

月ベースだと、例えば先月6月の場合、USDJPYは始値終値ベースで139円台半ばから144円台前半まで、値幅にして5円、3.6%ほど上昇しています。おそらくこれぐらいの上昇率では、介入の根拠としては弱いでしょう。それでは、今年の安値からの上昇幅ではどうか。今年の安値の127円台前半から昨日の145円まで、USDJPY今年すでに18円上昇していて、上昇率は14%になります。

昨年のUSDJPYの上昇率はどうだったか。昨年最初の介入は9月22日。USDJPYが146円台に上昇した日で、この日はすでに介入までに2円ほど上昇していて、短期間で急激な変動という介入条件は満たしていました。ただ、年間の上昇幅としても昨年の安値の113円台から、146円台は33円の上昇、29%の上昇でした。2度目の介入は10月21日で、152円に近づいた時でしたが、値幅は安値から39円に及び、上昇率も35%近くに達しました。

USDJPYが毎日暴騰しているわけでなく、昨年に比べて緩やかに上昇しているなか、政府日銀の介入根拠は年間の上昇率が大きいという根拠に依る以外ないと思います。昨年同様、30%の上昇率であれば今年の安値127円からの介入の水準は、165円になってしまいます。さすがに165円まで何もしないというのは、世間が許さないでしょうから、上昇率15%から20%の間ぐらいで折り合いをつけるのではないでしょうか。

今年安値から15%の上昇で介入となると、その水準は146円、20%なら152円となります。そして1日2円以上の円安に振れれば、この水準以下でも介入は濃厚になります。ただ、現在の緩やかな上昇では、米国や世間を納得させる実弾介入出動の、1番の候補となる水準は20%の152円が有力だと思います。第2候補は15%の146円ですが、現状それほど市場がUSDJPYのロングを溜めているわけではなく、ちょっと当たり前すぎる気がします。市場をじらすだけじらし、昨年のUSDJPYの高値更新にあたる152円あたりで出動する介入というのが一番効果的で、米国もマスコミも、ダブルトップが大好きのテクニカルチャート信奉者もみんなが納得する介入水準ではないでしょうか。