黒田日銀総裁のお掛け様で、筆者の「春」はどうやら大分早くきたようだ。というのが、

前回コラムでは桜が咲く頃、ドル/円の110円打診を予測していたが、昨日一時111円割れを果たしていたから、桜が咲いてもよいかと思っているところ。

前記はもちろん冗談だが、円高のスピード、遥かに市場関係者らの予想を超えたスピードで進行していることは間違いなし。本日日経平均1万5千円を割り込んでいるから、足許の株安・円高、アベノミクスの終焉を示唆するサインだと見るべきであろう。皮肉にも、その引き金を引いたのが、日銀のマイナス金利付きQQEだから、黒田さんのバズーカ3、明らかに自爆したと言える。

日銀のマイナス金利導入、「見事に」裏目に出た背景と根幹はほかならぬ、世界範囲のリスクオフの流れと中銀不信であろう。特に日銀に対して、マーケットの審判は厳しかった。実際、日銀がQQE政策を推進して以来、本来の目標を全く達成しておらず、随一もたらした株高・円安の成績も目下すべて帳消しされてきたから、何のためのQQE政策か、そしてアベノミクスとは一体なんなのかは、これから厳しく問われるでしょう。

何回も指摘したように、日銀のQQE政策が成功したところがあれば、マインドの改善のみ成績として挙げられたが、結局株高・円安に大きく依存しているから、今度は相場の如き、逆回転、逆噴射のリスクが大きい。その上、アベノミクスも構造改革云々といいながら、結局日銀の金融政策頼りばかりで大した中身なしで終わっているから、そろそろ政局にも反映される時期に差し掛かるか思う日銀の失敗、或いはアベノミクスの失敗についてこれから政権によく論議されるだろう。

今回「黒田バズーカ」がなぜ逆噴射したかについて、すでに大きくの解釈が行われているから、ここでは深入りしないが、強調しておきたいのは、そもそもアベノミクスと日銀政策が持て囃される時から、日銀と政府の「自信過剰」をもたらした点だ。言い換えれば、今回の黒田さんの大失敗は偶然ではなく、必然的な出来事だ。

すでに逆噴射になっている相場を簡単に止められないでしょう。こうなると、ドル/円のターゲット、下方修正は勿論、その時期、即ち桜が咲く頃、どこになるかはちょっと測れなくなったと思う。何しろ、相場のスピードから見ると、すでにパニック相場の連鎖が観察されているから、相場崩壊が次に相場崩壊を呼ぶといった展開なら、100円の大台打診も戯言ではないかと思う。来週春節で休んでいるあの上海株のオープンを考えれば、なお更ぞっとしてくる。但し、今回はリスクオフの伝染も逆噴射の構図になるだとう。つまり、従来の上海株暴落→日本株暴落ではなく、日本株暴落→上海株暴落となっていくかと思う。そして一部評論家らの口癖、つまり「すべて中国のせい」という言い方も、今度は上海にいる風見鶏らは真似って言うでしょう、「すべて日本のせい」だ。

もっとも、100大台の打診、いつごろになるかは分からないが、現実のターゲットとして106円台の打診は近々(やはり桜が咲く前かと思う)実現されるかと見る。但し、日銀の相場介入が警戒されるから、先週から続いてきた暴落は再演されにくいかとも思う。従って、短期スパンに限って、日経もドル/円も売られすぎて一旦戻りを図るだろうと推測される。