先週末、英ポンド下げ一服の可能性を指摘、安値追いに慎重すべきだと主張していた。結果的に今週に入ってからポンドが継続して切返し、昨日までポンド/ドルは四連陽、ポンド/円は三連陽を達成、それぞれ1.4193や161.29を打診し、安値追ったショート筋の踏み上げが推測される。

もっとも、ポンドの高安、対ドル、対円よりも対ユーロの状況が重要だ。前回でも指摘していたように、英国のEU離脱問題が騒がれ、そもそも大袈裟の上、英国の離脱があれば、英国のみならず、EUにも大打撃を与えるはずだ。従って、同問題でユーロ/ポンドの上昇があっても長続きはしないでし、同上昇に対する修正があれば、ポンドの反転につながると思っていた。

市況はその通りの展開となった。ユーロ/ポンドの昨年7月安値0.6909を「本尊」とした「逆三尊型」のフォーメーションを形成してから大きく切返ししてきが、同フォーメーションの計算値(ターゲット)を概ね達成、2013年高値0.8815を起点とした全下落幅の半分押しを一旦達成し、その後反落してきた。言い換えれば、テクニカル視点における目標達成感が強い以上、ファンダメンタルズの材料をもって一方的に押し進むことはない。

更に、前記のように、不思議なのは、ユーロ/ポンドが「三尊型」を形成し、上昇している間、マーケットはひらすら英国のEU離脱問題を騒ぐが、ユーロ/ポンドが目標を達成し、反落してきたら、実は英国のみではなく、EUにとってもマイナスだといった視点が市場関係者の口に語られる。要するに、同じ材料でも同解釈するかは市況次第だ。また市況次第、同じ材料でも全く違う解釈が成り立つわけだ。だから、筆者はずっと言ってきた、ファンダメンタルズに関する解釈を聞く暇があったら、チャートでも見よう・・・ということだ。

同じ視点でドル/円をみてみよう。ドル/円が安値圏で保ち合いにしているので、強気(ドル高/円安)、弱気(ドル安/円高)の両方が解釈される。強気の解釈として、米早期利上げ(今年)や日銀のマイナス金利拡大の余地がもたされているが、同じ材料でも弱気のほうに解釈される。この場合、米早期利上げは世界景気に大打撃を与えるから、円高をもたらすとか、日銀のマイナス金利拡大があっても前回と同様、却って円の急伸につながるといった具合だ。どちらか真実かは実は相場の反応をみないと検証できないので、結局相場次第ということになる。