USDJPYが年初から連日大きく乱高下を繰り返しています。USDJPYは昨年末に日銀が金融背策の修正を発表したため、137円台から130.50近辺まで急落し、その後134.50まで戻したものの、年初に129.50近辺まで売り込まれました。その後FOMCの議事要旨の内容がタカ派だったことや、日銀のさらなる金融政策修正が遠のく観測もでて、6日の米雇用統計前に再び134.77まで反発しましたが、雇用統計の後に発表された米ISM非製造業景況指数が、予想をかなり下回る弱い数字が発表され、再び132円台前半まで下落しています。USDJPYは昨年11月の米CPIの発表をきっかけに146円台から急落し、反発してはまた落とされるパターンを繰り返してきましたが、このパターンで形成された下降チャネル内の値動きは、そろそろ終焉を迎える可能性が高いと考えられます。

 

上の日足チャートは、昨年11月28日更新のブログで、USDJPYの年末までの値動きのシナリオをABCのパターンに分けて解説した時に使ったものです。私自身は下落してはいくものの、赤茶の200線はホールドされ、そこからUSDJPYは上昇に向かうパターンCを有力視していました。ところが12月20日に日銀は金融政策の修正を唐突に発表し、これを市場は実質の利上げと受け止め、USDJPYは200日移動平均線を下抜けして、130円台まで急落しました。

上のチャートで赤矢印で示されたところが、12月20日のローソク足です。この日の直前まで、USDJPYは200日線のサポートと下降チャネルの上限のレジスタンスの攻防戦を繰り返していました。当時この下降チャネル上限は、138.00近辺の重要なレジスタンス水平線と交差する重要なところにあって、一時上抜けするように見えましたが、結局日銀の発表により、レジスタンスは防衛された結果となりました。

この日の下落は、ファンダメンタルズでもテクニカルでも大きなものでした。ファンダとしては、日銀の低金利政策終了で日米金利差の縮小、USDJPYは下落するという思惑が台頭しました。テクニカルでは、この下降トレンドの上限と138.00レジスタンスラインが防衛されたこと、さらに200日移動平均線を大きく下抜けしたことが、今後のUSDJPYの下落の大きな根拠となりました。その後USDJPYは、年末に再度下降チャネル上限付近の134.50まで上昇しましたが、年初には129.50まで落とされる結果となりました。

しかしUSDJPYは、6日に134.77近辺まで上昇したことで、一時この下降トレンドから上抜けする動きを見せました。結局上ヒゲだけで、ローソク足の実体ベースでは上抜けしていませんが、この値動きは、トレーダーによって判断が分かれるところだと思います。私はUSDJPYが下落を停止するのかは別としても、この下降チャネルに基づく下落トレンドは、そろそろ終了するのではないかと考えています。上図チャートで、薄緑の上昇チャネルを作ってみましたが、これはまだ根拠が弱くただの私の妄想チャネルに過ぎません。ただ、今後安値圏が131円台に切り上げてくれば、あり得ないシナリオではないと思っています。200日線にしても、今はまだ上向き状態で、下向きはおろか、これからフラットになるにもかなり時間がかかると思います。実勢レートが今後200日線から乖離していくというよりも、今後再接近して再度上抜けをトライしていく可能性のほうが高いのではないでしょうか。

現状一番可能性の高いシナリオは、中庸の129.50-134.50のレンジ内の値動きになっていくことでしょうか。USDはインフレ指標と景気指標がまちまちで、最近はあまり強い方向感をだしていません。かと言って、米金利がすぐに低下していくわけではなく、日本の金利は上昇するにしてもかなりのスローペースになると思われるので、このまま下降チャネル継続で120円方向に下落というのも、現状はあまり考えられないと思います。130-135円でもみ合いを続け、いずれ再び200日線を上抜けして138-140円というシナリオが有力ではないかと考えています。

相場というのは予想したところで、その通りになることはなく、上がるか下がるかはやってみなければわかりません。トレーダーの仕事はレートを予想することではなく、実際のレートの動きに冷静に対応して、売買を継続することです。相場の予想にあまり意味はないと思いますが、相場のシナリオを考えることは、トレードをするための準備として有益なことだと思います。ただ漠然と値動きをを見ながら、上がった下がったと振り回されていては、相場に対する対応方針が見えてきません。先にある程度どう動くかをいくつか想定して、その想定通りの値動きなのか、想定より乖離した動きなのかを考えていくと、相場に対して具体的なトレード方針が見えてくると思います。

本日のブログは18日の予定を前倒しで更新しました。今後は相場の動きに応じて不定期に更新します。内容としては、今回のブログのように、GLAFXの配信ではカバーできない、短期中期的な想定シナリオを中心に書いていきたいと考えています。