【23年2月8日】GLAFXを始めてそろそろ1年半になります。とにかく相場についてのメール配信は初めての経験で、走りながら修正するということを繰り返した結果、だいぶスタート時と形態や方針が変わっていったと思います。内容はさておき、これまでやってきて痛感したことは、自分は自分のトレードが精一杯で、とても人さまに相場を教えられるような人間ではなかったということです。自分自身もこれまで、誰にも直接相場を教わったりする経験を持たずやってきましたが、相場の世界は奥行きが深く、結局自分自身で相場を体感して学ぶ以外の道はないように思います。

当初は初心者の方でも相場に入れる、という半ば教えるというスタンスも加味した配信内容でしたが、現在は相場を教えるためというよりは、現在進行している相場に対する私の見方と構築したシナリオを紹介する、ということを意識した配信に換えてきています。その結果、相場を予測するという観点から的中率に期待して購読を始めた読者の方や、初心者の方はほとんど退会され、現在は自分自身のシナリオをお持ちになったうえで、それに照らし合わせるために購読されている中級以上の方の会員が、多く残っているように推測しています。こうした方たちが会員として残っている限りは、私も長年の経験で培ってきた私自身の相場観を活かして、相場シナリオを提案する形で配信を続けていこうと考えています。

USDJPYが長らく続いた眠っているような値動きから目覚めて、大相場を繰り出すようになってからそろそろ1年が経過します。報道等で知るところによると、FXの参加者の多くがUSDJPYをトレードしているようです。初心者の方には申し訳ないのですが、現在のUSDJPYは大口の投機筋に、政府日銀も関与した壮大な仕手戦となっており、とても初心者に薦められるような相場になっていません。それでも昨年10月までは上昇トレンドで、USDJPYを買ってがまんしていれば、好結果がでる相場が続いていましたが、今年はボラティリティが高く、方向も定かでない難しい相場になっています。FX業者もスプレッドを広げることが多くなり、時にはレートをフリーズさせ、初心者が上手に立ち回って収益を得ることが難しい相場環境であることは、理解しておいたほうがいいと思います。

ちょっと前置きが長くなりましたが、先週金曜日に米雇用統計で予想外の強い数字が発表され、その後今週月曜日には日銀次期総裁候補の報道を材料に、USDJPYは132.90近辺まで上昇しました。先月の雇用統計前に134.77の高値をつけたあと、日銀の大規模金融緩和政策の縮小観測などで127.21をつけ、そしてそういった日米の金融政策に対する思惑で乱高下を繰り返し、再び132円台に乗せたUSDJPYの値動きは、ちょっと目先の流れが変わってきているのかも知れず、注目に値するものだと思います。そのうえで、今回は今後のUSDJPYについて、考えられるシナリオを書いておこうと思います。

私は長年チャートを眺めてきて、各通貨ペアにはそれぞれ特有の角度のチャネル内で値動きを作っていく習性があると考えています。その角度を発見し、熟成させることは、料理人が秘伝のタレを作っていくような作業に似ているかも知れません。通貨ペアを分析するにあたっては、トレンドラインや水平線を使うトレーダーが多いと思いますが、私は自分に見えるチャネルも多用します。例えば、USDJPYの日足チャートで昨年の151円台からの下降トレンドをみる場合、私はざっくりと下図のようなラインを引いてチャネルを作ります。

このラインの引き方については、トレーダーによって色々なやり方があると思います。チャネル内に中央を通る破線がありますが、この角度でチャネル内には破線の他に無数のラインが引けます。例えば下図のような感じです。下は日足を1時間に落としたもので、日足で引いた角度のラインが同様に引けます。こういったラインにもフラクタル構造が機能しているようで、転換点を示唆することも多いです。ちなみに、今回は省いていますが、上昇のラインも同様に引けます。上昇の角度と下降の角度は異なることが多いです。また局面によって、この下降角度より急角度のラインも短期足では存在します。これらのラインは、トレンドラインと水平ラインとともに、私の毎日の売買ゾーンの根拠にしています。ただ、私の読者には私自身の相場観を重視している方が多いので、こういったラインにすべて頼るものでなく、私自身のシナリオを多く加味した売買ゾーンにしています。

ちょっと話がそれてしまいました。今後のUSDJPYですが、ざっくりと下図のようなABCのシナリオが考えられると思います。ふたつほど緑色の水平線が引かれていますが、今週火曜日の高値とチャネル上限ラインが重なるところに引いた水平線は、実は4時間足の戻り高値の水平線になります。今回この132.85-90近辺をつけあた後に下落しているので、今後市場がかなり意識するラインになると思います。その上にも水平線がありますが、これが日足の戻り高値です。137.77近辺の先月の米雇用統計発表前の高値になります。

シナリオAは、この4時間足の水平線を上抜けして、日足の戻り高値に向かい、いずれ再び上昇に向かうシナリオになります。シナリオBは、132.85-90をすぐには突破できないものの、下降チャネル内の下落は終了し、緩やかな上昇チャネル内の動きにシフトして、いずれ再び133円台を窺おうとするシナリオです。そしてCは132.90を高値にして、再び下降チャネル内で下落を継続するシナリオです。

ファンダメンタルズと私自身の相場観を加味した場合、シナリオCが一番可能性が低いシナリオだと思います。日本の年内の金利はYCCを終了して上昇したとしても、せいぜい1%で、インフレ懸念のある米国の金利との差は、なかなか縮まることはないと考えます。金利差だけが相場の決め手にはならないとは思いますが、高値から25円近く下落したUSDJPYのさらなる大きな下落は考えにくいと思っています。かと言ってシナリオAもなかなかハードルの高いシナリオです。新しい日銀総裁が正式に決定して、先行きの金融政策が明らかになるまで、米金利の上昇だけでは、なかなかこれ以上にUSDJPYが上昇するのは、現時点では難しいのではないかと思います。ということで、残ったBが1番可能性が高いのではないかと考えています。133円台はすぐには無理でも、127円台からの下値を緩やかに切り上げていくラインに乗って、もみ合いを繰り返しながら130円でベースをつくりながら上昇していくというシナリオです。上値の切り上げもかなりの売り圧力をこなしながらになるので、時間はかかると思いますが、押し目買いを中心にしたシナリオで対処していきたいと考えています。

SNS等を見ていると、相場の予測が当たったといって喜んだり、はずれた予想を揶揄するような書き込みが見られます。当たったと単純に喜ぶのも大人気ないですが、はずれを揶揄するのも、自分自身の相場に対する無知を披露しているようで、恥ずかしい行為だと思います。相場がどう転ぶかは、誰にもわかるものではなく、そもそもトレードは相場を当てに行く作業ではないと思います。ある通貨ペアについての値動きを検討し、まず基本的なシナリオを構築して、値動きの変化を見てシナリオを修正しながら、相場に合わせていくことがトレードだと思っています。よく新聞等で専門家の見方として、レート予測が掲載されたりしていますが、これら専門家も自分の予測が当たると思って答えている人はいないと思います。為替相場の予測がいかに難しいかは、専門家がよくわかっているからです。与えられた予測やシナリオを取り入れるのは構いませんが、トレードは実際の値動きに対応して、自分なりに修正を加えたシナリオのアップデートが必要です。自分が納得する自分が受け入れやすいシナリオを作り、そうでない動きをしたり、シナリオ修正が難しいと判断した相場には乗っていかないことです。トレードはつまるところ、やはり自分で考えるしかないのです。

今後も不定期にブログを更新します。