【23年3月18日】新聞記事で読みましたが、昨年FXの取引高が倍増したそうです。USDJPYが150円を超える円安となり、何かと新聞やテレビで話題となり、FXに興味を持って口座を開設した人も多かったようです。

ところがFXの口座を開き、張り切ってトレードを開始したのはいいけれど、その後の値動きとそれに伴う報道や解説に辟易した人も多かったのではないかと思います。USDJPYが130円、140円、150円と上昇していくにつれ加熱する報道。曰く、「160円は時間の問題」,「200円の円安も」.ところが130円に下落して円高に向かえば今度は110-120円説が浮上して、再び135円に上昇すると今度はまた140-150円と言い出す。昨年USDJPYは買えば儲かると言われてFXを始めたのに、話が違う。とても難しい。こう思っている人は多いのではないでしょうか。

USDJPYは先週137.92の高値をつけましたが、今週は流れが一変して131円台まで下落しています。どうして、と聞かれれば色々理由を挙げることができますが、まずもって相場というものは本来そういうものです。USDJPYにエネルギーが溜まり上昇の圧力が強くなれば上昇するし、逆に下落圧力が強まれば下落する。相場はそのサイクルの繰り返しです。昨年同様の流れを期待して、USDJPYの上昇狙いでFXの口座を開設した人は、方針の修正をする必要があると思います。どのようにトレードスタイルを修正して相場の波に乗っていくか、今日はそのヒントとなりそうなことを書きたいと思います。

USDJPYは金利差もあるし、ロングで捕まっても待っていればそのうちまた150円とかの円安になるのではないか。そうかも知れないしそうでないかも知れません。いずれにせよ、相場のゆくえがどうなるかは、プロアマ問わず誰にもわからないのです。ただ現状を認識することは重要です。現在の日米金利差が大きいことは事実で、例えば1万通貨USDJPYをロングにして1年間放っておいたら、1日につき約160円、1年で5万8千円相当のスワップポイントがもらえます。ただその間にUSDJPYが5円80銭以上下落してしまえば、損失が発生していしまいます。

USDJPY市場のコンディションはどうでしょうか。FRBはインフレ抑制を続け、米金利はまだ上昇しそうです。一方日銀は現在の低金利政策は当分続ける模様で、日米金利差が大幅に縮小することは当分ないと考えられます。USDJPYは米国のインフレ低下と日銀の金融政策修正によって、昨年秋の151円台から127円台まで下落していました。そこに2月の米雇用統計で予想外の強い数字がでたことと、パウエルFRB議長がさらなる利上げを議会証言で示唆したことをきっかけに、再び137円台まで上昇することになりました。この過程で世界中のポジションが再びすっかりJPYショートになってしまいました。昨年から我慢してJPYショートをキープしていた人も加えると、マーケット全体のJPYショートは相当なものとなっていたと推測できます。そこにきてSVB破綻を発端に金融システム不安が発生し、JPYショートポジションは現在急速に解消に向かっています。そしてまだその過程の途中にあるのが現在のUSDJPYの状況と思われます。

こう考えていくと、いずれJPYショートポジションが解消されれば、いつかわかりませんが、またUSDJPYが上昇に向かう可能性は十分あります。ただその前にUSDJPYがどこまで下落していくかは誰にもわかりません。相場は一時的にも後から考えればなぜそんなバカげたところにまで、と考えるほど過度に下落したり上昇したりすることがあります。2020年に特殊な理由はあったにせよ、原油価格が一時マイナスになった日がありました。相場というものはあり得そうもないことが起こったりもするものなのです。ロングを放っておいたとしても、FXの場合は強制ロスカットにならないよう、十分に警戒しておく必要があります。

ではこれからのUSDJPYに対してどうしたらいいか。現在コストの悪いロングポジションを抱えている人は、そのまま塩漬けしていても前述のスワップポイントが入ってきます。1年で580pipsですから、塩漬けするにしろ強制ロスカットの可能性が低くなるまで、ロット数を減らすならそのまま持ち続けてもいいと思います。手持ち資金が十分あるのであれば、FXをやめてドル預金に切り替えたほうがいいかも知れません。コストの悪いショートポジションの人はそれほどいないと思いますが、いるとすれば今の下落過程を幸いに一旦ポジションを閉じて仕切り直したほうがいいでしょう。ただ、私は塩漬けのポジションが嫌いで、塩漬けはトレードの中に入れていません。これがあるだけで、新たなトレードができず機会を喪失することになります。何よりも楽しくありません。トレードによって収益と同時に楽しみも得るという私の信条からも逸脱するので、早く手仕舞いしちゃいなさいとしか言いようがありません。

一番悩ましいのが昨年USDJPYのロングでそこそこ儲けられた人だと思います。ロングで儲けた記憶が強いので、なかなかショートにできないし、ショートにしてみてもおっかなびっくりで、ちょっとスクイズされる動きがあると慌てて手仕舞いするということが多くなっていると思います。ショートで手仕舞いを急いでしまうのは仕方ありません。慣れてくればそのうち平気になるかも知れないし、苦痛だったらロングの局面だけ探してエントリーすることもできます。デイトレードであれば、ロングで儲けられる局面が何度もあると思います。

昨年ロングで儲けられた人は、今年トレードにメリハリがつけられないのではないかと思います。今日は買いと考えると漠然とロングをキープしてしまうのです。その結果手仕舞いをしそびれて良いポジションだったものも損失で終わったりする可能性が高くなります。昨年の場合だと、持っていれば相場が何となく助けてくれて漠然とした目標設定でよかったかも知れませんが、今年は相場の流れがUSD売りJPY高に傾くと、しばらく強烈な下落に遭遇します。今年はここまでスイングトレーダーが儲けづらい相場です。デイトレーダーも漠然とした収支計画ではなく、毎日きっちりと相場をチェックして、着実に収益をあげられるきめ細かいトレードスタイルに変えていくべきだと思います。

では、今年USDJPYをトレードするデイトレーダーは具体的にどうしたらいいか。トレーダーの中には兼業で昼間には仕事で相場を見られない人もいると思います。人それぞれにトレードする環境も条件も違うので一概には言えませんが、毎日のトレードをひとつのまとまったデイトレードと見るのでなく、自分が実際にトレードを行う時間帯と市場を、収益目標とともに4分割してみるのがいいと思います。

例えば私の場合、朝夕にGLAFXの配信があるとは言え、専業トレーダーになります。トレードに費やす時間はざっくりアジア市場は8時から10時ぐらいまで。昼間は色々と他にやることがあり、オーダーとアラートを置いてあとは相場を見ていない時間が長いです。15時ぐらいから再び相場をチェックしますが、これはGLAFXの売買ゾーン設定のため。トレードはGlAFXの売買ゾーンにオーダーを置いて、欧州市場の序盤は何か特に動きがなければ近視眼的に相場を見ることはないです。そして本格的に相場を近くで見始めるのは、19時頃から23時頃まで。23時以降も相場によってはそのまま0時か1時くらいまで見ていることもありますが、大抵はオーバーナイトのオーダーを入力したりして終了にします。こうした流れの中で、私は1日に儲けようと思う金額を具体的に設定しています。

ただ買って放っておけば良いような相場は夢のような相場です。昨年は一時期そんな時がありました。私は昨年10月頃すっかりトレードのねじが緩んでしまい、今年になり気持ちの転換を図りました。昨年はざっくり週単位と月単位で収益目標を考えていましたが、今の相場はそんなざっくりとしたトレード方針で、油断すれば損失がかさんでしまいます。そこで毎日に収益目標を設定して、アジア市場でその日全体の25%、欧州市場で25から50%,そして残りをNY市場で達成しようとしています。

相場は毎日値動きとともにボラティリティも変化します。トレードはリテールのように毎日同じように収益を重ねていくことは難しいです。相場コンディションによって、良い日と悪い日もあるのも理解しています。しかし私はあえて、毎日同じ収益をあげることを目標にしています。例えばわかりやすく、1日4万円を儲ける目標を設定します。アジア市場ではまず1万円を稼ぐことに集中します。ただ、アジア市場のトレードは円がらみに限っていて、まだ1日の序盤戦なので1万円でなくてもよいです。5千円でもいいと考えています。5千円でもプラスになっていると、欧州市場で少し楽になります。欧州時間ではもっとシビアに、できれば3万円以上の収益まで達成してしまう意気込みでトレードに集中します。そして仕上げがNY市場で稼ぎます。達成できていなければ、残業かオーバーナイトで収益を狙っていきます。逆にうまい具合に収益が上がると、時間がもう遅ければそこでポジションを打ち切って利益確定します。もっと収益を伸ばすチャンスもあると思いますが、今のところ欲張りすぎて利益を減らすことが少なくなった気がしています。

ロット数は4万円であれば、最大8万通貨ぐらい相場を張れれば、1日かけて達成できる金額だと思います。8万通貨前後を最大ロットとするのであれば、証拠金は100万円あれば十分だと思います。朝、NY市場の値動きや出来事など全般的にチェックし、経済カレンダーもチェックして、その日のおよその流れとボラの状況でロットやトレードに比重を置く市場を考えます。アジア市場での狙いは大体1万円程度ですが、その晩に指標などのイベントがあれば、ロンドンとNYのどちらの相場にウエイトをかけたトレードにするか考えます。チャートをチェックしながら、狙い場を決め淡々とエントリーと手仕舞いを繰り返します。トレードする通貨ペアですが、USDJPYがメインですがもちろんその他のドルストレートやクロス円もトレードします。ただ一度にトレードする通貨ペアは、3通貨ペアまでに絞り、ロット数の配分にも十分気を配る必要があります。

トレードはうまくいく時とだめな時が当然あります。欧州市場までは、ダメな時は深追いをしませんが、NY市場まできて予定金額に達していなかったりマイナスになっている場合は、一挙に取り返しにかかります。ただ、取り返しに失敗して返り討ちにあったとしても、損失は収益目標が4万円であれば6万円までに抑えます。この程度の損失に抑えられれば、翌日4万円、翌日に2万円と1日半で回復することができます。実際にそうならなくても、そうなるものと自分自身で納得することが重要です。そして実際にその実現に向けて緻密にトレードを続けていくのです。

自分のトレードが大雑把になっていると感じた時は、できるだけ統制のとれた計画を作って実行していくといいと思います。私のGLAFXの会員の方は、夕方からしかトレードできない人が多いですが、夕食後から20時まで、20時からGLAFXエントリー期限の22時まで、22時以降の3分割でもいいと思います。要は時間と市場を分割したうえで、トレードを収益目標に対して集中させる試みをすることです。収益目標は自分に合った無理のない現実的な金額にすることが大事です。無駄なトレードをなくし、規律のあるトレードを繰り返すことが必要です。また時間と市場を分割するにあたっては、その分割に適した時間足のチャートを絶えずチェックすることも必要になります。日足4時間足1時間足チャートの監視も当然ですが、15分足前後の下位足によって、しっかりエントリーポイントと利確目標、ロスカット位置を定めることも重要です。こうしたエントリーと手仕舞いについては、GLAFXの手法も参考にしたいただくとよいのではないかと考えています。