毎週金曜日のコラムを執筆することになりました。本日から更新していきますので、どうぞ宜しくお願いします。

今回のテーマはタイトルの通り、相場の宿命であります。

宿命とは定められた運命のことですが、相場は現実より先行される以上、一定の法則をもって動き、またそういった法則自体、所謂ファンダメンタルズに左右されにくいことも自然の摂理だと言えます。一番の好例はドルインデックス(ドル全体の状況を表す)リーマンショック以降の値動きであります。

周知されるように、リーマンショック以降、米FRBが前例のない大規模なQE(量的緩和)に踏み切り、3度に渡って天文学的数量のドルを刷り巻いたが、ドルインデックスは2008年3月の安値を下回れなかったです。ファンダメンタルズが市場の動向をすべて支配する、といった「正論」では到底説明できない現象が金融マーケットにおいて実に多いです。

言い換えれば、俗論と相違し、市場における値動きが先行し、ファンダメンタルズが後追う形で付いてくるのが寧ろ普通の現象であります。こういった「相場の真実」を悟れば、目下の実例に応用できるかと思います。

9月後半、欧米日の株式市場が大きく反落してきた後、VW事件、グレンコア危機や第一中央汽船の破綻など悪いニュースが伝われてきました。しかし、こういった事件の発生、個別ではなく総論としての存在、相場の宿命を理解できる方にとって全くサプライズを感じない上、自然な成り行きださえと受け止めるでしょう。主要国の株式市場が揃ってベアトレンドに入ってきた以上、これからも悪材料の続出を覚悟すべきであります。

但し、一部論調のように、ブラックスワンの出現で相場が直ちに2008年のような大暴落を演じる確率も低いと見ています。VWかグレンコアがブラックスワン的な存在と警戒される向きが多いが、大袈裟な見方だと思います。何しろ、ブラックスワンほど両事件のインパクトが足りないからであります。

2007年サブプライム問題が発生してから、翌年のリーマンショックに繋がった経緯に鑑み、本当のブラックスワン、やはり今回世界混乱を引き起こしたチャイナに発生するではないかと思います。こうなると、年内よりも来年の可能性が大きく、またマーケットが警戒されている内には発生しにくいから、市場が安心した後発生する確率が高いと思われます。なぜなら、ブラクスワンが警戒されていうち、なかなか出てこないからであります。

この意味では、中国株暴落の一服と同じく、世界主要株式市場も一旦落ち着くでしょう。日経平均に至って、今週一旦17000大台割れ自体が明らかに売られすぎだったので、反発してくるのも当然の成り行きだと思います。ベアトレンドとはいえ、一直線に進むとは限らないから、性急な安値追いも避けたいところであります。

リスクオフの一服、本来円売り・ユーロ売りをもたらしてもおかしくないが、株式市場のパフォーマンスに比例した連動をしなかった分、為替市場の値動きが限定的でありました。従って、当面トレンドレスの状況が続き、値動きがあっても変動レンジの拡大しかならないかもしれません。市況は如何に。