昨日の値動き、中期スパンにおける115.89のターゲットへ向けた始動だとも言えます。

もっとも、115.89はドル/円の8月24日安値に過ぎず、同安値の打診自体がサプライズとは言えなくなっています。但し、8月24日の暴落はあまりにも強烈だったので、同日安値の再打診があれば、ドル/円がより本格的な反落を加速していく公算が高いと見做され、一つの目安だと思われます。

ドル/円の反落、ドルインデックスの反落とリンクする値動きが強まることに鑑み、ドル全体のトレンドがより鮮明に捉えます。ドル全体の一段安、警戒サインとして、ドルインデックスの日足に目先50日線が200日線を下回っていることに注意が必要だと思います。何しろ、これは2014年7月以来の出来事で、ドルの一段調整を暗示、ドル/円と同じく、8月24日安値92.62の再打診があれば、一段と反落の余地を拓く公算が大きいでしょう。

米年内利上げ観測が急速に後退している中、ドル高を支えてきた材料の剥落がメインシナリオとなり、所謂リスクオフの恩恵が見られなくなってきたことが6月以来為替市場の基調だと思います。対照的に、ファンダメンタルズが軟弱でQEの拡大もあり得るユーロの堅調が目立ち、ドルの軟調が一層浮き彫りにされています。

EUサイドの問題、従来の構造問題以外、もっとも気になるのがやはり大規模なQEがあっても物価水準がECBのターゲットに届いていないことです。このような頭痛の種、ドラギ議長以外、もっとも共感できるのが日銀の黒田さんのほかいません。日銀がQEの先発組だっただけに、黒田さんの悩みがもっと深いと言えるかと思います。

ところで、前回コラムで話したように、日銀が目先実に追加緩和に踏み切る可能性は高くないです。すでに日銀の「一人占め」となった国債市場の硬直化があって、例え量的緩和策が追加されても、事実上効かなくなる可能性が大きいといった思惑が強いです。米早期利上げ観測が後退している中、実際利上げされるまで、日米金利差がこれから更に拡大していくとも考えにくいから、日米金利差でみるドル/円の割高感が否めません。この意味では、年内から来年春にかけて、ドル/円の反落余地が大きいと思います。