【22年1月30日】米国のインフレ懸念からFRBの金融引き締め、米金利上昇、米株安で米ドル高の相場展開となっています。今週のFOMC後に米ドルはEUR,AUD,JPY,GBPに対して軒並み上昇しました。こういった相場環境で、ドルに関する話題はちょっと当たり前すぎる気がするので、今回は多くのマーケット参加者があまりトレードしない、しかし実は少なからずマニアックなトレーダーに人気のあるGBPAUDについて書いてみることにしました。

GBPAUDはGLAFXではトレード対象としていませんが、FX会社を選ぶ時には、この通貨ペアでトレードできる会社にしてくださいとお願いしている、GLAFXが重要視している通貨ペアのひとつです。GLAFXでトレードしないのは、ボラが高いためスプレッドが広く、売買設定がしにくい通貨ペアだからです。ただ、例えばUSD買いを仕掛けようとする時に、GBPUSDを売るか、AUDUSDを売るかを考える時、GBPAUDの値動きをチェックすることは、重要なトレード準備です。また、FXは近年、閑散とした市場を繰り返す日々が多いのですが、GBPAUDに限っては1日に150~200pips動くことも多く、だからこそ近年人気のトレード通貨ペアでもあるのです。さらにGBPAUDには、マーケットがリスク回避をする局面で、大変興味深い値動きを見せることがあります。

馴染みのない方も多いと思うので、まずは下のGBPAUDの週足をご覧ください。

波乱万丈のGBPAUDですが、週足ベースでは2013年4月からの上昇トレンドラインに沿って上昇を続けています。吹き出しにあるように、2度ほど株安で急騰しています。BREXITの過程でも、2013年の安値を下回ることなく、上昇を続けてきました。続けて見ていただきたいのは、下のGBPAUDの日足です。

金曜日にGBPAUDは昨年8月の高値を更新しました。昨年8月の高値から下落と上昇を繰り返し、11月に1.81台の安値をつけた後、再び上昇と下落を繰り返して、金曜日に一時1.92台をつけました。この一連の動きは、青いジグザグ矢印で示しているように、逆三尊を形成したようにも見えます。前回のブログで、GBPJPYが下落傾向にある時の、4時間足の三尊形成について書きましたが、週足の上昇相場の過程でつけた日足の逆三尊は、上昇開始のサインと見る人も多いかも知れません。

では、今回GBPAUDが再び顕著な上昇局面に向かった理由は何なのでしょうか。考えられる理由は、やはりマーケットが近い将来のさらなる株価下落を予測している可能性が高いのだと思います。株価下落などのリスク回避局面では、まずリスク資産と呼ばれるものが大きく下落しますが、全体としては米ドルが買われることが多いです。こうした局面ではGBPUSDもAUDUSDも下落するのですが、下落の比率からいくとAUDUSDの売られる割合のほうが大きいのです。なのでGBPAUDは上昇することが多いです。もうひとつ実例として、2008年9月のリーマンショック前後のGBPAUDの日足も下に掲げておきます。

週足や日足のチャートで調べてもらうとわかるのですが、GBPUSDやAUDUSDのチャートでは、GBPAUDほど事前に株安などのリスクを察知する動きをしていません。GBPAUDは大きく株価が下落する前から、前兆のようにじわじわと上昇を開始することが多いです。今回のGBPAUDはまだ昨年の8月の高値を超えたばかりで、本格的な上昇に向かうかはわかりませんが、この通貨ペアがさらに上昇を強める時には、注意する必要があると思います。

GBPAUDと似たような動きをする通貨ペアにEURAUDもあります。EURに関しては、今回はウクライナ情勢や低金利継続というネガティブな要因が多いので、GBPAUDのほうが面白いのかな、と思っています。また明後日の2月1日に豪政策金利発表、追って3日には英政策金利発表があります。オーストラリアは雇用統計などの指標が強めですが、利上げはまだ先と見られています。一方、英国については一部で再利上げの観測もでていて、これがGBPAUD上昇の要因である可能性もあります。