【22年3月28日】前回のブログでUSDJPYが、2週間のもみ合いの末116.35を突破していった、いきさつについて書きましたが、その後、黒田日銀総裁の低金利政策継続の明言と円安容認、その一方で、パウエルFRB議長の次回FOMCで、0.5bpの利上げも否定しないとのタカ派発言で、市場は二国の金融政策の明快な違いに鋭く反応して、USDJPYは120円を突破しました。こうした動きを受けて、USDJPYは今後125円、130円いや135円という市場関係者のコメントが増えてきています。相場がどこにいきつくのかは、誰にもわかりませんが、USDJPYに大きな流れがでてきたのは事実です。今回のブログは前回に引き続き、USDJPYについて、これからの見通しと、では実際にどうやってトレードをしていったらいいかにについて、書いていきたいと思います。

私は自分のキャリアで、今まで一番多くトレードをしてきた通貨ペアは、まちがいなくUSDJPYなのですが、2017年頃からめっきりそのトレード回数を減らしてきました。なぜなら、1年中ほとんど動きらしい動きが見られないからです。2019年の正月のフラッシュクラッシュの際には、1年間にだす値幅のほとんどを、ほんの1時間ほどでだしてしまう馬鹿々々しさにあきれて、本当にUSDJPYには幻滅しました。以前のUSDJPYは、独特のクセがありましたが、トレードしていて楽しい通貨ペアだったのです。それを知っているだけに、もう今後私がトレードを続けているうちは、USDJPYに大きな相場はやって来ないかも知れないと思っていました。

ところが今回、USDJPYを買っていくにあたって、申し分のない環境が作りあげられてきています。まずは、米国がインフレを懸念して今後大幅に利上げしていくということ。そしてインフレ抑制につながるUSD高を容認していくであろうこと。一方の日本は、デフレを脱却してインフレ目標を達成するために、今後も低金利政策を続行し、円安も日本経済全体としては、悪いことではないと考えていること。もうこれだけの国の後押しがあれば、短期の投機筋だけでなく、長期の投資家もUSDJPYの買いに動くのは当然のことだと思います。さらに、前回のブログでも書きましたが、株安やウクライナ情勢などのリスクオフの際にも、JPYが買われなくなりました。そして原油高や輸入品目の価格上昇で貿易赤字が増大し、日本はこれからさらにUSDJPYを買い続けなければなりません。これらを総合的に考えた上、また最近のUSDJPYの値動きを見て、これはUSDJPYに久しぶりの、息の長い大きな相場がやってくるのではないかと考えるようになりました。

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ちょっと前置きが経済アナリストみたいになってしまいました。ここからは、ではUSDJPYが上昇していくとして、実際にはどうやってFXでUSDJPYをトレードして、収益につなげていくか考えてみます。USDJPYが例えば130円まで上昇するなら、今USDJPYを買ってずっと持ち続けて、130円になったら売ればよい、と言ってしまえば、その通りです。ただ、それは長期の投資家がやればよいことで、私を含めた短期投機筋のデイトレーダーがやることではありません。まず、短期売買の利ザヤで生活している私にとって、長期の買いっぱなしができません。130円への道のりでは、2~3円の調整下落もあるはずで、そこではしっかりショートするか、高値で利食いをしたうえで、押し目買いを狙いたいです。ではどういったトレードをすればよいでしょうか。

まずはトレードの方針を決めていきたいと思います。方針はトレードをしていくうえでの前提です。方針はUSDJPYの今後の上昇を見越して、ロングを主体にトレードしていくということです。その根拠は、主にファンダメンタルズ要因で、上に書いた通りです。では実際の戦略ですが、今回のUSDJPYが本格的な上昇相場である、と仮定して、上昇目標を決める前に、私としてはまず今後押し目があるとしたらどの程度かを考えます。押し目を考える時は、4時間足や日足チャートでもみ合いをつくったところに注目します。こうしたチャートのサポートラインは、最近起きたことなので、多くの市場参加者が覚えていて、意識されることが多いです。

今回の上昇のベースとなるところですが、これは前回のブログに示した最初のチャートある通り、116.35上抜けなのは明らかなのですが、そんな実勢レートから6円も離れたところを戻り安値のベースとして、トレードを進めることはできません。そして今、このブログを書いているのが10時20分なのですが、USDJPYは25日の高値を更新して122.75まで上昇しました。USDJPYの116.35を突破してからの日足チャートですが、ただ陽線が連続しているだけで、トレードをしていく上で何の役にも立ちません。時間を4時間足に落として、考えていきたいと思います。

ところでブログを書き進むうちに、USDJPYはさらに高値を更新しています。先ほど123円直前まで上昇しました。こうやって上がれば上がるほど、高値リスクを感じて、どこで買ったらいいのかがわからなくなります。この上昇相場に乗るには、どこかで腹を決めて、自分自身に折り合いをつけながら、買いエントリーしていかなければなりません。28日10時30分現在の4時間足が上のチャートになりますが、この4時間足でさえもUSDJPYの押し目の少なさが目につきます。では今後ありそうな安値をどこに置くかですが、まず常識的に考えて、FOMC前とパウエル議長発言の前のレベルまで押すことは、上昇トレンドが続く限り無理です。なので、大雑把に捉えて、119円台の押し目はもうないと考えます。そこで120円台ですが、1番左の赤い矢印のローソク足の安値である120.40近辺を、私は目下のところの想定最安値にします。このレートは、USDJPYが高値を更新して121円台を最初につけた後の、押し安値になります。たった60pipsの調整でしたが、この後高値を更新して121.40をつけた後の下落も、120.60止まりでした。私はUSDJPYがリズム良く上昇を続けている時の、最大の調整を経験則から250pips前後と考えています。その点からも、今のところの想定最安値としても良いと考えています。

さて、想定最安値を決めたとしても、今のUSDJPYがそこまで再び下落するようには、到底思えません。力強い上昇が続いています。私が次にすることは、この想定最安値から引けそうなラインを探すことです。そしてこの120.40近辺から先週金曜日にアジアでつけた、押し目の121.18近辺(中央赤矢印)をつけたラインを引きました。断っておきますが、これはトレンドラインと呼べるものになるか、今のところはまだわかりません。ただ、多くのトレーダーが意識するところではないかと考えます。さらにこのラインと実勢レートがぶつかるまでは、まだ時間がかかりそうです。そこで私はさらに、中央赤矢印を起点にして、金曜日のロンドンでアジアの後につけた2番底である121.40(一番右の赤矢印)を通る、さらに急角度のラインを引きます。現状4時間足で引ける最後のラインになります。

時計は11時を回りましたが、USDJPYがさらに高値を更新して、123.11をつけました。ちなみに123円台は私がとりあえずUSDJPYのスイングトレードの目標にしていたところです。すでに東京で1円上げてますし、とりあえずそろそろ今朝の上昇も一服するのではないかと思います。

さて、こうやって引いてきた斜めラインですが、これは大雑把に引いた線であり、また押し目が来たとしてもそこで止まる保証は何もありません。しかし、自分がUSDJPYを買うにあたっての、納得した根拠とすることはできます。結局のところ、USDJPYの上昇に乗るためには、どこかで自分自身に何かしらの根拠を持たせることが大事なのです。上にあげた斜めラインは踏ん切りをつけるための私のやり方であり、1例にすぎません。他にGLAFXで先週までやっていましたが、朝9時にとにかくUSDJPYを買うことで、ロングを持つという方法があります。今日のUSDJPYを見て気がついたのですが、この方法は月曜日にやると効果的なことがわかりました。週足を見てみると、過去3週にわたり、月曜日の始値がその週の安値になっていることがわかります。本日もその可能性があります。つまり週末にトレーダーは相場検証を行い、やはりUSDJPYは買い、という思いを強くして、相場に臨んでいるのではないでしょうか。月曜日の9時のUSDJPYを買う。これもきっかけのひとつです。

その他、高値更新時は飛びついて買ってみる、というのもひとつの方法です。これは通常、後々苦労するトレードになることが多く、GLAFXでも飛び乗りはしていません。しかし、このような大相場で多くのトレーダーが買うことに躊躇している時、あるいはもう買いはあきらめて、ショートで売り上がっているトレーダーが多い場合、ロスカットの買いも入って上伸することが多いです。試してみる価値はあると思います。

いつも言っていることですが、高値を買ってロングしたり、激しい売りで押し目を買うのが怖いと思ったら、ロットを減らしてトレードするか、ロスカットを必ず置いてリスクを軽減して、自分の精神状態の安定をはかってください。ロスカットがついたとしても、この上昇相場です。また何度もトライして買い直せばいくらでもチャンスはあります。それから、この上昇相場にうまく乗っていくために、トレードをふたつにわけることをおすすめします。ひとつはGLAFXが行っているようなデイトレードです。先に書いたような急角度のラインを引いてみてそれを根拠に、30pipsにロスカットを置いてロングエントリーをしてみる。これは、月曜日の9時トレードのように、買いの根拠を発見したと思った時にとりあえず買って、30pips下にロスカットを置くやり方です。

そしてもうひとつは、比較的緩やかな角度に引いた斜めラインまで実勢レートが落ちてくれた時、これも買って30pips下にロスカットを置くと同時に、少額でいいからさらに下のライン近辺あるいは最安値レベルの下にロスカットを置くのです。つまりスイングトレードをします。これも、例えば月曜日の9時や高値更新で、良いポジションが持てたと思う時に、すべて利益確定しないで、少しだけスイング用ポジションとしてとっておくのもひとつの方法です。強い上昇トレードでは、ロングは捕まっても後で実勢レートが助けにきてくれる、そして一度利益確定すると、もうそれより良いレートで買い直させてくれることは少ない、と覚えておくべきです。

少し長くなってしまいました。今後のUSDJPYの行方について書いておきます。1番上のチャートですが、これは1975年にUSDJPYが300円台だった頃からのチャートで、水平線が4本引かれていますが、一応チャートポイントとなるあたりと考えられるところに引いてあります。しかしこれらも古いラインで、マーケットが意識するかまったくわかりません。しかも月足なので、ラインと言うよりもゾーンとして考えるべきだと思います。つまりものすごい太い水平線です。100pips以上の幅をレジスタンスゾーンとして考えるべきです。さらに、一番下のラインは124~125円近辺で、現在黒田ラインなどと呼ばれているところですが、私はまったくレジスタンスとして当てにしていません。上昇トレンドにおいて、最も意識されて信用度が高いのは最近つけた安値高値であり、数年前のチャートポイントなど当てにならないのです。だからこそ、当面の高値は考えずに、とりあえず切り上がっていく押し目と、更新していく高値だけを見てトレードしていくのが、今回のようなUSDJPYをトレードしていくコツです。ただ、今までの経験上、USDJPYが1年間につけそうな値幅というものがあります。113.50近辺を今年の安値として、近年の相場で考えるのであれば、値幅は10~15円で高値は123円から128円というところでしょうか。過去には大相場で大きな値幅をだしたこともありますが、まあ最近の値幅を上回って、昔よくあった値幅を20円から25円と考えても、133円から138円あたりを考えてもよいのではないでしょうか。そう考えたほうがUSDJPYを買っていくのに、ファイトも湧くと思いますが、実際にやっていくのは、地道に押し安値を複数の時間足でチェックしながら、我慢強く押し目を待って、買っていくことが基本になります。