【22年8月28日】ジャクソンホール会議が終わり、もうすぐ9月です。2日には米雇用統計がありますが、4日の米独立記念日後からはNYも夏の休暇シーズンが終わり、本格的に年後半相場が始まります。今年前半は、3月から上昇を開始したUSDJPYが大相場となりましたが、個人的なスイングトレードは別として、GLAFXのデイトレードでは、USDJPYのトレードで苦労することが多かったです。それはなぜなのか。そしてこれからの後半戦は、どういった方針で臨めばいいのかについて、考えてみました。

今年これまでのGLAFXのUSDJPYのトレードを振り返ると、エントリーできない売買ゾーンが多くあり、またエントリーできてもロスカットになってしまったトレードも少なくなかったように思います。それはなぜなのか。考えられる理由がいくつかありました。それらは、

  • ボラティリティが高く、値幅が想定よりも大きく、売買ゾーンを抜けてロスカットになることが多かった。
  • 有効な水平線、トレンドライン、カウンターラインが少なく、レジサポラインの見極めが難しかった。
  • アジア時間に1日の相場の大勢が決まってしまうことが多く、欧州時間から調整になることが多かった。

上のチャートはUSDJPYの日足ですが、USDJPYは3月から概ねグリーンの上昇チャネルに沿って、上昇していると思われます。ただ、この上昇チャネルは、赤の矢印で示している通り、上限ラインには3回接していますが、下限のサポートラインに接したことが1回しかなく、このサポートラインがどれほど有効かということに関しては、かなり疑問があります。また、レジサポ転換を示す水平線も、はっきりしたものは131.50近辺の1本だけです。しかし、これも米中問題で台湾情勢が緊迫した時に、長い下ヒゲで破られたことがありました。また、直近の135.50近辺のサポートにしても、USDJPYが139.40をつけて下落を開始してからできたレジサポラインで、1番底と2番底のダブルボトムのネックラインになってはいるものの、どれほど市場に意識されているサポートラインかということについては未知数です。

要するに、USDJPYが上昇トレンドにあることは疑いないのですが、スイングトレードで押し目買いをするにしても、根拠とする下値が少なく、またその下値にしても、どれだけ有効なのかがよくわからないのです。試しに時間軸を4時間足に落として、サポートになりそうな水平線を引いてみましたが、下図に見られるように、ヒゲで突き抜けられるあいまいなラインが多く、強い根拠とはなりそうにありません。さらに1時間足などと時間軸を落とせば、もっと引ける水平線は増えると思いますが、信頼性は著しく低下します。

では、EURUSDはどうでしょうか。EURUSDは、2月24日のロシアのウクライナ侵攻前後から、下降トレンドを開始しています。

EURUSDが実際に下落トレンドを開始したのは、1.1500が割れた昨年11月からだと私は思っています。1.1500がいかに重要なレベルであったかについては、以前ブログに書いていますので、それを参照してください。こだわりの数字 115と1.15 USDJPYとEURUSDの明暗 | 創業22年の信頼!株式投資とFXの情報はグローバルリンクアドバイザーズ (gladv.co.jp) 

いずれにせよ、1.1500でダブルトップをつけたEURUSDは、上の日足で示されたグリーンの下降チャネルに沿って下落を開始しました。赤矢印で示した通り、上限で5回と下限で4回、多少の誤差はあるものの、しっかり止められている優秀な下降チャネルと言えます。さらに水平線ですが、1.1500を始めとして、5本の水平線が引かれていますが、いずれも市場がしっかりレジサポ転換で反応している優秀な水平線だと思います。しかも赤矢印のように、下降チャネルの上限ラインと水平線が重なったところが多いです。直近では1.0350近辺で、ここは8月10日と11日の2日間にわたってGLAFXが売りゾーンを設定していたところで、一部は利確せずにしばらくショートキープをお薦めしたところでもあるので、GLAFXの読者の方たちには記憶に新しいと思います。結局1.0365近辺でダブルトップを形成して再び下落し、現在に至っています。

このように見ていくと、USDJPYも確かに値幅がでて魅力的なトレード対象ですが、トレードの難易度を考えた時に、EURUSDのほうがかなり易しいと思います。相場はなるべく簡単なトレードで利益をあげていくのが理想です。下のチャートは最近のUSDJPYとEURUSDのIMMのポジションですが、USDJPYはJPYショートが減っていっている一方で、EURUSDはようやくEURロングが定着して、増加傾向にあるようです。そして、天然ガスの問題や、各国の金利に対する温度差や、地政学的リスクなどのファンダメンタルズを考慮に入れると、まだまだEURロングの水準は低いように思います。

最後にEURJPYの日足チャートを掲載しておきます。EURJPYも3月から上昇が続いていましたが、6月に3度にわたって142.30近辺で頭を抑えられ、138円を下抜けしてからは、短期的には下降傾向が続いているように見えます。ただ、まだ赤線で示された200日線の上でトレードされており、134円を実体で下抜けるまではレンジ帯の動きと判断したほうがよさそうです。当面は134円から138円のレンジ帯の動きで、138円を再度上抜けるまではやや上値の重い展開が続くと考えられます。これを見ても、今のところUSDロングするのであれば、対JPYよりも対EURのほうが効率がよいと思います。また、前回USDJPYが最高値の139.40近辺をつけたのは、7月14日でその時EURUSDも最安値をつけましたが、USDJPYはまだ137円台でくすぶっているのに対し、EURUSDはすでに安値更新の態勢に入っています。パリティ割れが本格化しつつあるEURUSDに追いつくには、USDJPYは140円台に乗せてくる必要があるように思います。

ということで、当面USDJPYをロングするよりも、EURUSDをショートしたほうが、小さいマーケットリスクで収益があげられるチャンスが多いのではないかと考えています。もう1度EURUSDの日足を見てもらうと、青枠で囲った部分が2か所ありますが、ロウソク足の値動きのパターンがふたつともとても似ていると思いました。また同じように下落につながる保証は何もありませんが、ショートで狙っていくイメージはしやすいと思います。少なくともこの優秀な下降チャネルと水平線が効いている限りは、今年後半からのGLAFXのトレードは、EURUSDのショートを中心に狙っていきたいと考えています。