【22年11月28日】今年USDJPYは3月から大きな上昇トレンドとなり、10月21日についに151.95近辺の高値をつけました。しかしその後、政府日銀のUSD売り介入や利上げ幅縮小観測による米長期金利の低下などを背景に、今年最大の下落に転じています。今回のブログは、USDJPYの日足チャートから視覚的に、現在の状況と今後年末まで1か月ほどのUSDJPYの相場について考えていきたいと思います。

USDJPYの現在の状況ですが、3月を起点とし、台湾をめぐる米中関係が緊迫してつけた、8月の安値を通る大きなサポートラインを、今月10日の弱い米CPIで下抜けした状態になっています。ただ、これで上昇トレンドが終了したのかどうかということについては、トレーダーによって意見が分かれると思います。上図チャートの上から3番目の140.35近辺の水平線ラインを、押し安値と考えるトレーダーもいれば、一番下の130.40近辺の水平線ラインを、押し安値とするトレーダーもいると思うからです。いずれにせよ、現在支配している相場の流れは、151.95近辺の高値を起点とした、下降チャネル内での値動きだと考えられます。

この下降チャネルはチャート上のブルーの帯で表示されていますが、下降の角度が急でしかも帯の幅がそれほど広くないので、それほど長い期間効力のあるチャネルだとは考えていません。いずれはチャネル上限を超えてくると思いますが、この超え方が問題になります。私は今後年末まで考えられる値動きとして、3つのシナリオを考えてみました。それが矢印で表示されているA,B,Cのブルーの線と矢印です。

Aはすでに137.66近辺で底をつけたもので、今後140円台に乗せて142.25近辺の戻り高値を超えていくというシナリオです。ファンダメンタルズ重視で、このシナリオを支持しているトレーダーは多いと思いますが、139円台後半から140円台後半にかけて、大きなレジスタンスを形成していて、まず141円台に乗せてくるのが容易ではないと思います。ただ、左側にピンクの枠で囲った部分がありますが、この7月から8月中旬にかけてのチャートの形状は、最近の形状によく似ています。相場がまだ大きな上昇トレンドの中の下降チャネル内にとどまっているのであれば、またこの時のように上昇してもおかしくはないと思います。

Bは137.66の安値を更新しないまでも上値も限られて、138円台と139円台を中心としたレンジ帯でもみ合いになるというシナリオです。このシナリオが年末ぐらいまでの期間では、可能性が高いかも知れません。ただ、まだ年末まであと1回の米雇用統計やCPI、そしてFOMCが控えていることを考えると、今年大相場を演じているUSDJPYがこの程度のレンジにとどまっていられるのか、ちょっと疑問です。

そしてCですが、これは137.66近辺の安値を下抜けしてくるというもので、年末まで一番警戒が必要なシナリオだと思います。この137.66を下抜けした場合、短期的には売り圧力がかなり強くなります。この安値がレジスタンスに転換すると、137円台後半から138円台前半が相当重い上値になってきます。下落が加速すれば、135円台も視野に入ってくると思います。この場合、安値の目途ですが、134円半ばくらいではないかと考えています。赤茶色のラインは200日移動平均線ですが、今年2月から実勢レートがこのラインを上回り、10月までかなり乖離していましたが、ここのところのUSDJPYの下落で、ずいぶんとこのラインに実勢レートが近づいてきました。今回下落したとしても、このラインの近辺までではないかと思っています。また下降チャネルの下限や6月に形成したもみ合いから見ても、順当なところではないかと思います。

では、以上のA,B,Cのうち、本命になるシナリオはどれなのか? この疑問に答える前に、理解していただきたいことがあります。相場は上がっていくのか下がっていくのか? この種の質問と答えはよく話題になります。アナリストならともかく、デイトレーダーとしての正しい答えは、「わからない」だと思います。わからないでなぜ相場が張れるのか、と聞かれるかも知れませんが、デイトレーダーは上がるか下がるかでトレードしているのではなく、買うか売るかどちらのほうが獲りやすいのか、どこで入れば損失を抑えて入りやすいのかを基準にトレードしています。相場が上がるか下がるかわからないものとして、ではどのようなシナリオが考えられるのか構築していきます。そして、まずトレードしやすいシナリオを選んで、そのシナリオに沿ってトレードをし、そしてこのシナリオが否定されるような値動きや状況を見せたら、他に考えていたシナリオに転換する。トレーダーのしていることはこの繰り返しです。相場の経験が少ないと、相場が上がった下がったの結果を見て、当たった外れたと喜んだり嘆いたりしますが、相場はもともと上がるか下がるか、やってみなければ、誰にもわからないのです。相場を予想するのでなく、シナリオを構築してそれに基づいてトレードするのがトレーダーの仕事です。

では、上に書いたことを踏まえてですが、まずざっくりとA, B,Cのシナリオがあります。まずはA,B, Cの出発点として、ここからロングポジションを考えたほうがいいのか、それともショートか、これを見ていくためにチャートの時間軸を1時間足に落として、もう少し実勢レートに近いところでの、レジスタンスとサポートを見ていくことにします。

上のチャートは本日28日午前11時00分の1時間足チャートになります。先週米国感謝祭の時から、USDJPYは138円台前半から反発し、金曜日に139円台半ばまで上昇しましたが、そこから上伸できず139円台前半でNYは終了しました。本日はここまで139.42近辺まで上昇後、139円を割って138.65近辺まで下落しています。チャートにグリーンの水平線が引いてありますが、ここは今月11日以降、何度もレジサポ転換して反応しているゾーンになります。

このグリーンの水平線は現在レジスタンスとして効いているところで、このラインより下に実勢レートがあるうちは、まず下落のシナリオを1番に考えていきます。この段階でロングは、この139.65近辺のグリーンのラインを上抜けしてから考えることになります。ここが抜けてもその上の140.75近辺にもレジスタンスがあるので、今度はこのグリーンのラインをバックにしてロングが打てるかどうかが問題になりますが、これは今の段階では考えなくてよいことです。下落のシナリオでいくということで、今の段階では142.25の戻り高値を目指すシナリオAは消してよいことになります。

そしてBとCですが、現段階ではまだ安値を更新するのかわからないので、とりあえずBをメインシナリオとしてトレードを進めていくことになります。今日の時点では、金曜日のNY市場の高値あたりでショートを作れるのが理想ですが、このまま下落が進んでいくのであれば、さらに時間軸を下げたチャートで根拠となるレジスタンスを探すことになります。とりあえずメインシナリオはBなので、138円台前半ではショートは手仕舞います。そしてここからBでいくのであれば、今度はロングにすることを考えますが、ここからがトレーダーの意見の分かれるところだと思います。Bでいくのが正解か、Cでいくのが正解なのか。

またしてもですが、答えはやってみなければ誰にもわからないのです。正解は誰にもわかりませんが、私はその時の値動きと状況が許せば、Cに含みを持たせたトレードをすると思います。即ち、安値近辺でのロングはせず、ショートの利食いだけにとどめる。またはロスカットを下方修正してショートを少しキープしたままにするかも知れません。なぜかと言えば、安値を更新しそうだと考えているからではなく、安値を更新するとすれば取れ高が大きくなるからです。更新できなくても、ロスカットを下方に修正しているので、利益は残ります、くどいようですが、相場の上げ下げは誰にもわからないので、ここはリスクリワードの大きさを私は根拠にします。異なった考えのトレーダーもいると思います。結果は誰にもわからないので、それはそれでいいのです。

以上、今日はUSDJPYが年末までどのような相場になるのか、ということではなく、どのように考えてトレードするのか、ということについて書きました。もともと相場のゆくえはわからないもの、という考え方は、私のトレードの根本の姿勢になっています。GLAFXの会員の方には、相場がわからない中で、どうトレードしたらよいかという思考方法が、もっと深く伝わるような配信を今後考えていきたいと思っています。

次回のブログは12月18日に更新する予定です。