トレード通信
グローバルリンクアドバイザーズ株式会社
2022/06/11
日本市場は4週続伸も、週末失速し200日線を割れて終了
<海外市況>
【週間騰落率】
ドル(対主要通貨加重平均) +1.97% (104.15)
株(S&P500指数) -5.05% (3,900.86)
商品(CRB総合指数) +0.79% (325.81)
金(ニューヨーク先物) +1.37% ($1,875.50)
原油(WTI先物) +1.51% ($120.67)
債券利回り(米10年債) +22bpts (3.165%)
5/26日より上昇転換と判定していた米国株は、非常に大きな反発がその週に起きた
ものの、その翌週(~6/3日までの週)の主要指数はそれぞれ1%前後の反落に終わっ
ていました。
50日線回復を目指すこの週は、前半こそ堅調に推移していました。しかし水曜(8
日)にナスダックが出来高を増して▲0.73%安と反落すると、消費者物価指数
(CPI)発表を翌日に控えた木曜(9日)は、警戒感から一段と出来高を増やして▲2.
75%の大幅続落となりました。
これでCPIが多少悪くとも悪材料を織り込んだかと思ったのでしたが、金曜(10
日)に発表された5月の物価統計の内容は、殆ど誰も想定しなかったほど悪いものと
なり、ナスダックは▲3.52%の大幅一段安、主要3指数で最も下げ率の小さかったダ
ウ(▲2.73%)でも▲880ドルの大幅下落となりました。
木、金の大幅安でもまだ5月の年初来安値を下回っていませんが、今回の上昇トレ
ンド開始点を大きく下回ったため、ここで米国株の相場判定を再度「下落転換」に変
更します。
チャートで確認すると、1月、3月のときもそうだったのですが、メジャートレンド
である長期下落波動による下げが市場を席捲し、行きすぎたところで自律反発的に上
昇転換が起きますが、いずれも短命に終わっています。今回もそうなったことで、長
期下落トレンド中に起きる一旦の箸休め的な短期上昇、という性質を鮮明にしていま
す。あくまで支配しているのは長期下落トレンドです。
新型プロセッサーを搭載したMac製品を発表したアップルをはじめ、テック大手株
は週間で5~10%程度下げたものが多く、50日線から大きく遠ざかって安値に迫りま
す。金利上昇にも関わらず(実質金利がプラス圏でさらに上昇しています)、大手銀
行株が軒並み10%近い大幅下落となり、景気懸念が出ているものと思います。
特にこの週に目だったのは海運株の大幅急落です。石油株と同様年初から好調だっ
た海運株は、週初に今年の高値を付けるなどしましたが、水、木と一斉に大幅下落
し、週間で▲15%~20%超の下落となった銘柄が多く見られました。これを受けて日
本の海運株も大幅安ともなりました。
週間の主要指数の下げ率は、S&P500▲5.05%、ダウ▲4.58%、ナスダック▲5.60%
と大きなものでした。1週前の各1%前後の下げと合わせると、上昇転換した週につけ
た+6%を超える大幅反発の大半を消し去っています。
一方先に大きく下げてきた中国・香港株は堅調でした。米国に上場するアリババ株
(BABA)は週間+18%の上昇、同業のピンドゥオドゥオ(PDD)も+18%高、滴滴出行
(DIDI)は+25%高、香港の最大銘柄テンセントや美団も+10%以上値を上げました。
原油価格は3週続伸で120ドル台に乗せてきました。商品総合指数も4週続伸です。
相場の大きく下げた週終盤は安全資産の金価格が上昇し、関連して金鉱株も買われま
した。
また10年債利回りが2週続けて+20ベーシスポイント超の上昇で、再び3%を超えてき
ています。ドルインデックスも大きく上昇して今年最高となる104台を付け、ドル円
も134円台に乗せています。
<日本市況>
日経平均 27,824.29 週間+63円 *過去最高値まであと+40%要
相場判定(長期):下落トレンド継続中(2022/1/28~)
相場判定(短期):上昇トレンド継続中(2022/5/18~)
注目セクター : 鉱業、石油石炭、商社
日本株は円安を背景に堅調な値動きが続いてきました。日経平均では9日(木)ま
でに5日続伸とし、2万8千円台を回復しました。また世界の主要な株価指数の中で珍
しく50日・200日の両移動平均線を超えてもいました。
価格と出来高の組み合わせもポジティブで、商いを増やして上昇する日が多く、上
昇トレンド期間中の特徴を表しています。
しかし今回の上昇も木曜(9日)にトップを付けた可能性もあり、この日の午後に
前日比+155円高の28,389円の高値を付けると、終値までに急速に値を下げ戻し、結局
+12円高の28,246円として引けました。チャートでは上髭が確認できます。
そして翌金曜(10日)は▲422円安と大きく下げ(出来高は2%減少)、27,824円と
して200日線を割り込んで終えています。TOPIXも金曜の下げで200日線を再び割り込
みました。
まだ金曜の米国株大幅安を織り込んでいないので(大引け後に米CPI発表)、この
あとさらに下がると木曜のトップ感が意識されます。
今年の上昇トレンドはこうした形を続けており、例えば前回3月も長い下落トレン
ドから上昇転換すると、3/25日までに9連騰ということがありました。その時のトッ
プで付けた高値も28,338円と、今回とほぼ同じです。勢いよく反発するのですが、結
局それは一時的な上昇に終わり、平均線を超えきらないという感じです。
また円安によってドルベースでみれば2週続落となっている点も注目できます。一
週前のTOPIXは+2.4%を超える大幅高でしたが、ドルベースで計算すればマイナス
(下落)でした。円安によって上がっているように見えるだけかも知れないと前回書
いていました。
この週も上昇して日経平均・TOPIXとも4週続伸ですが、ドルベースでは週間でそれ
ぞれ▲2.2%~2.4%の大幅下落となっています。金曜夜の米国急落分を織り込めば、
ドルベースでみた日本株は大体米国株と同じ下げ幅と言えます。年初来でもドルベー
スだとそれぞれ▲16~17%安で、ダウとS&P500の間くらいの下落率となります。
米国との連動で言えば、木曜に海運が業種別でワーストなる▲7.8%と急落しまし
た。ワースト2位の証券商品先物業が▲0.95%安だったので断トツに下げたのでした
が、前夜の米国で海運株が突然大幅安となったことが話題となっていました。
■ 東証G 4599 ステムリム 【買い(長期保有目標)】
6/10日終値 764円 前週末比+64円
【買値1】: 想定500株、924円、20/01/20
【買値2】: 想定500株、721円、20/02/18
【買値3】: 想定500株、580円、20/02/25
【買値4】: 想定500株、620円、20/12/22
*上記以外に損失確定として計400株、損益-33%あり
9日(木)引け後に22年7月期第3四半期の決算を発表しましたが、それが発表され
る前からこの週は強い動きとなっていました。前の週の比較的大きな下げを取り戻す
ような自律的な反発と思いますが、決算発表に向けて出来高を増し、発表翌日の10日
(金)は+1.2%高ながら最近ではかなり大きな出来高を付けました。
その決算はいつもながら注目に値するものでなく、製品販売がなく治験を進めるだ
けの段階ですので、費用が増えて赤字拡大となります。しかし資金はまだ十分あり、
想定内の赤字です。治験の進捗についても新たな情報は書かれていません。
12月に第2相試験の主要項目を達成したと速報のあった脳梗塞治験についても、こ
れまで通り導出先の塩野義製薬において第3相臨床試験の準備を進めていくとだけ記
述されています。
その塩野義製薬の最新のプレゼンテーション資料を見ると、ステムリムのレダセム
チドは以前のまま重要な位置付けのままで、何か評価が下がった訳でもありません。
同社は数多くの薬を開発中で、特に新型コロナ関連の感染症薬に経営資源を集中して
いるのですが、数多くの候補薬のなかでレダセムチドは「注力8プロジェクト」の一
つに入っています。それだけ期待されているということです。
従って引き続き進展を待って我慢強くホールドしていきたいと思います。好材料の
連鎖が途絶えた訳でないので、待っていれば期待の高まる時期がまた来ると考えてい
ます。
*当面ロスカットは設定しません。
■ 東証P 6630 ヤーマン 【買い】
6/10日終値 1,276円 前週末比+39円
⇒ 利益確定 1,290円、6/7日(買値 1,150円、5/30日)
引き続き続伸の流れが続いて7日に利益確定値に到達しました。前回高値ラインを
1,300円と見てそこから10円下げて設定したのですが、このあたりが節目として意識
されているのか、1,312円を高値に上髭を出現させ、やや下げて週を終えました。
【 短期トレンドフォロー ETF売買プログラム 】
■ 東証 1306 TOPIX連動型ETF 【買い】
6/10日終値 2,047円 前週末比+8.5円
⇒ 買い継続中(買値 1,996.5円、5/23日)
⇒ 6/13日(月)始値で手仕舞い
週末のダウは予想以上の物価統計を受けて880ドル安、ナスダックは414ポイントの
大幅下落です。シカゴ日経先物は大阪終値に対して460円安い27,390円で終えていま
す。
米国はFOMCを前に再下落転換となりました。再び上昇転換するという可能性も
ありますが、今年のトレンドは、上昇転換は短く浅く、下落転換は長く深くとなって
おり、安値更新を警戒します。
FOMCの直前に米5月生産者物価指数の発表もあり、物価と金融政策が焦点とな
ります。FOMCが予定通り0・5%の利上げとなれば、15日に予定されるパウエル
議長の会見でのニュアンスが相場材料となります。恐らくそれはその時株価がどう
なっているかも影響し、あまりにも大幅急落してパニック状態となるようなら、一旦
は相場に配慮したコメントで調節することもあろうかと思います。FRBはある程度
の下げを誘導してきましたが、劇的な下げは困惑すると思います。
日本市場は円安が進んだ間に付けたトップが意識され、米国を追って下落転換する
可能性が高くなると思います。今のところ上昇トレンド継続中で、月曜は大きく下げ
て始まることが予想されますが、先手を打ってETFプログラムを手仕舞いにしたい
と思います。
個別では5月のゴールデンウイーク期間を含む小売販売がどの企業も前年同期比で
大幅増となっているため、小売、インバウンド消費、旅行関連など経済再開銘柄が好
調です。また鉱業、石油石炭、商社なども原油高で値を上げています。それでも下落
転換すれば一斉に下がると思うので、警戒して次の機会を待ちたいと思います。
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グローバルリンクアドバイザーズ株式会社
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